ソファの上で昼寝をしている弟に大きくなったなと思ってしまうのは年が離れているせいだ。 おしめも替えた、ミルクも離乳食も食べさせた。 それが今じゃ自分の代わりに夕食を作っていてくれる。 頼もしい弟の背中はあの頃よりずっと大きくなっていた。 机の上には、底がびしょびしょになった飲み掛けのグラスが２つと弟のゲーム機、三条の教科書の類いとスマホ。 紫陽花をしっとりと濡らしていた雨は弱くなり、陽が射してきた。 もしかしたら虹が出るかも知れない。 修学旅行のお土産の次男とバックプリントされたTシャツが扇風機の風にはためいている。 三条は視線を弟プリントに戻し、勉強を再開した。