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第820話
「美月ちゃん、おはよう。
遥登もおはよう。
早いな。」
「おはよう。」
ポストから持ってきた新聞を手に自分の席に座る父は、新聞を読みはじめた。
三条の正面にはW杯金星スタートの見出し。
首を傾げ読んでいると、父親は小さく笑いながら1面を剥いでくれた。
サッカーより野球の方が好きだが興味はある。
箸を置いて読んでいると、台所からおにぎりを持ってやって来た母親は眉を下げて笑った。
「2人共そっくり。
やだ、遥登おじさんみたい。」
「え…」
「美月ちゃん、おじさんは少し…」
「そっくりなんだもの。
あ、優登おはよう。」
「おはよう。
なに笑ってるの?」
兄の隣に座る弟に新聞の1面を差し出すと弟はじっと読みはじめる。
そして、母はまた笑った。
「優登までそっくり。」
「?
兄ちゃん、なんの話?」
母の楽しそうな笑い声に、さっきまでの眠気は消え漸く目が覚めきた。
疑問符ばかり浮かべる優登のご飯と自分のお代わりをよそい台所へ行くと、疑問が解けたのか嫌そうな声が聞こえてくる。
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