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第819話

「母さん、おはよう。」 「おはよう。 まだ眠そうだね。」 「少しね。 でも、腹減った。」 母親はボウルの中のご飯に市販の混ぜご飯の素を混ぜ混むと、ラップにとって握っていく。 1つ、2つ、3つ。 次々と握られていくおにぎりを横目に、冷蔵庫から麦茶を取り出した自分のコップに注いだ。 ごくごくと飲みながら、鍋の中を覗けばわかめと豆腐と油揚げの味噌汁が美味しそうな湯気をたてている。 「うまそ。 もうよそって良い?」 「お願いしようかな。 冷蔵庫に昨日の残りの煮物あるからそれも出してくれる?」 「ん、わかった。」 テスト日は頭を使うせいか何時もより腹が減って仕方がない。 しっかりと朝ご飯を食べても、途中からぐーぐーと腹が鳴る。 それを知ってて母親はおにぎりを沢山持たせてくれるのだが、やっぱり朝ご飯は沢山食べるに限る。 ご飯と味噌汁をよそい、自分の席に座ると目の前には黄色い出汁巻き。 わくわくした気持ちで手を合わせた。 「いただきます。」

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