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第824話

走って来た事がバレない様にドアの前で息を整える。 ふぅ、と息を吐いて目の前のボタンを押した。 呼び鈴を押すとすぐに開くドア。 出迎えてくれる甘い笑顔。 待っててくれているのかな、なんて自惚れてしまう。 「おはようございます。」 「ん。 おはよ。」 6月になってはじめての逢瀬に胸が弾む。 正宗さん、やっぱり格好良い… シャツをさらりと着ただけのラフな格好だけど、襟刳りから覗く鎖骨や、細いけれど男の腕に色気を感じる。 細いだけの自分とは違う身体にドキドキと心臓が騒いでしまう。 バレてしまわないか、ちらちらと顔を伺うが大丈夫みたいだ。 「テストお疲れ。」 「正宗さんもお疲れさま様です。 でも、まだ採点があるんですよね。」 「まぁな。」 生徒はテストから解放されても、教師達はこれから採点に成績入力と雑務が残っている。 増して、体育祭準備がはじまりこれからの方が忙しいだろう。 靴を脱いでいるとぽんと頭に手をのせられ、なんだろうとそちらを向けば顎に手がかかる。 三条の肩がぴくっと小さく震えた。 「遥登。 キスしたい」 「…え、と…何時もは、言ってからしない、じゃないですか。」 「俺とキスすんの嫌か?」 「違いますっ。」 それは違うと服を掴んで1歩近付くと、腰を抱かれた。 トンと触れた股間に顔が熱くなっていく。

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