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第843話

第一種目は100メートル走。 今年もリーチのある三条含め、体育の授業時の記録順で選ばれたメンバーが朝も早くから走らされる。 応援席で友人と分かれ集合場所へと向かう最中も待っている最中もカンカン照りの太陽が旋毛を焼く。 「三条、みっけ。 目立つからすぐ俺の場所解るわ。」 「解る、解る。 有り難てぇ。」 三条を目印にやって来たクラスメイトに眉を下げて笑うが、頭をぶつけたり何時もは不便だと思うことが多いだけに、この身長が役に立つならそれはそれで良かったとも思う。 「三条。」 クラスメイトと話ながら準備を待っていると、隣から自分を呼ぶ声が聞こえた。 視線をそちらに移すと見覚えのある顔が此方を眩しそうに見ている。 丁度その声の主の目線の先、自分の真後ろに太陽があるらしい。 「新道、くん」 「くんは良いよ。 俺も三条って呼ぶし。 また今年も隣だな。 よろしく。」 「そうだったんだ。 此方こそよろしく。」 昨年同着ゴールでやり直しを一緒にした新道が居た。 「新道、今年も三条と同着だと笑える。」 「マジ勘弁してくれよ。 俺達はなんも笑えねぇ…」 「うん…」 今思い出してもたまったもんじゃない。 全力疾走を2回も、しかも2回目は2人だけでさせられた。 注目を浴び、暫くは友人達からネタにもされたのは忘れない。 ケラケラ笑うクラスメイトに新道も眉を下げた。 今年は勘弁して欲しいと三条も新道も強く思う。

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