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第972話
「う、わっ」
ボスッと押し倒されたベッドに胸が跳ねた。
ベッドから濃くかおる恋人のにおい。
見上げた先でニヒルな笑みを浮かべる恋人。
もうこうなったら捕食されるのを待つだけしか出来ない。
「最高にきもちくさせてやる。」
「程々で、お願いしまっ、ンンっ」
有言実行、本当に隅から隅まで綺麗に洗われた。
そりゃもう丁寧に。
どうせすぐに脱ぐからとフルジップのパーカーに下は下着のみの無防備な姿の三条の上に馬乗りになると、長岡は貪る様に唇を合わせた。
唇を触れ合わせたままチャックを下ろされる。
少しずつ露になる素肌。
恥ずかしくて抵抗してしまう手を優しく制され、同時に唇も離されてしまった。
「…ぁ」
「恥ずかしいのは?」
「ま、正宗さんと、だけ…です」
「そ。
俺とだけ。
俺と遥登だけ。」
鼻を擦り合わせながら、目の前で綺麗に口角を上げる恋人に胸がきゅぅっと締め付けられる。
本当に格好良い。
整った顔立ちにパーツの1つ1つがとても綺麗で、寝起きの乱れた頭ですら無造作ヘアの様に見える。
首筋に顔を埋める長岡の髪が頬を擽った。
「キスマーク薄くなったな。」
「…言わなくて、大丈夫ですから……」
「俺の遥登ってマーキング。
なくなったら寂しいだろ。」
首から顔を上げた長岡はちゅと唇に軽く触れてきた。
綺麗な目がやわらかく細められ愛おしいしさが滲んでいる。
ずっと見ていたい。
自分だけが見られる特別な顔。
「…寂しい、です。」
「ん、素直。
じゃあ、沢山つけような。」
「俺も…」
「遥登もつけてな。」
ひとつ頷くと、沢山な、と付け加えられてしまった。
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