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第971話
口が離れると三条はやっと呼吸が出来た。
どうしてもキスの最中は息が止まってしまい、何度もしてきたが上手く出来ない。
俯き顔を隠すとそっと頭を撫でられた。
「風呂、行こうか。
一緒に準備しような。」
「…ひとりで、出来ますから…その…」
「あんな楽しい事自分だけですんのか。
俺にもさせて?」
「……狡いです、」
見上げた先で長岡は大人の余裕たっぷりに微笑んでいる。
首に抱き付いて、せめてもの抵抗に首筋に歯をたてた。
「ん…、そんなんされたら我慢出来ねぇって。」
「……トイレ、使わせてくれますか…」
「犬ってトイレ使うっけ?」
くつくつ笑う恋人が恨めしい。
「……最近の犬は使います。」
「はいはい。
じゃあ、風呂は一緒な。」
もぐもぐと首筋に噛み付いていると、冷たくて大きな手がまた髪を梳いた。
気持ち良くて目を閉じると恋人の体温がよりはっきりと解る気がする。
良いにおいがして、心臓が同じ位ドキドキしてて。
「一緒に、入ります。」
「決定。
隅から隅まで洗ってやるから覚悟しとけ。」
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