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第1050話

日直の号令で終礼を済ますと、教室内には活気が戻る。 教室から去っていく担任を視界に入れながら三条は静かに息を吐いた。 まさか、あんなの詠まれると思わなかった… ずっと、隣に居てくれんのかな そういう意味だよな 和歌を読んでいる最中、此方を見た気がした。 多分、目が合った。 クラス全員の前で自分の目を見て告白にも似た和歌を詠む長岡にさっきから胸が騒ぎっぱなしだ。 熱くなる頬を少しでも冷やす様に、三条は古典の教科書と辞書をロッカーにしまいに廊下へ出る。 冷たい空気に結露する窓。 もうすっかり冬の景色だ。 ポケットから定期入れにくっ付けたロッカーの鍵を取り出すと、施錠を解除する。 古典から次の教科の教科書へと持ち変えると再び施錠をして、ふと廊下の奥を見た。 人文科の教師達が沢山在席する準備室。 そこに担任はいる。 クラス担任で、教科担当で、1番大切な人。 「三条ー、やっぱ長岡って彼女いんだな。 意味調べたら結構激しいやつだしよ。 リア充かよー。」 スマホを片手に廊下に出てきた田上は羨ましいと言ちた。 「教科書取り出さなくて良いのか?」 「んー、出す。 はぁぁ、あの顔羨ましい。」 自分が最初に惹かれたのはその顔ではないが、今は顔も当然好きだ。 一瞬でもその顔を見たいと廊下に出るとつい準備室を見てしまう様になった。

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