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第1052話
三条はこの学校に入学してはじめて出来た友人だ。
同じ中学からの進学者は話した事のない女の子がE組に1人だけで、A組に知り合いなんていない。
同じ中学同士で固まっている同級生を視界の端にいれながら、スマホをいじっていて気が付いた。
もう1人のひとり。
うわ、ほっそ…
風吹いたら飛ぶんじゃねぇのか
しかも白い
もやしみてぇ
はじめて三条を見た時、あまりの細さに驚いた。
ぶかぶかの制服から覗く腕や首は女の子のそれより白く細い。
だけど、貧相という言葉とは少し違った。
色白だが決して顔色が悪い訳ではないし、髪も肌も艶がある。
気が付くと俺は、その同級生に声をかけていた。
「三条、だよな。
俺、田上勝幸。
えっと、同じ中学の奴、いなかったりする?」
「うん。」
「俺も!
良かったら友達、にならないかなって思って。」
くりっとした目をぱちくりさせると、ふわふわと笑った。
この人はこうやって笑うんだ、と目を奪われる。
「勿論!
こっちこそよろしく。」
「よろしく!
やった。
あ、三条って呼んで良い?
俺の事も好きに呼んで良いから。」
「じゃあ、田上で。」
もやしは撤回!
三条は、とても優しく穏やかに笑うその笑顔がよく似合っていた。
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