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第1091話

「何観ますか? 笑っちゃいけない、紅白、ボクシング…。」 夕方のチャイムが鳴る頃には、特別放送のみになる。 笑って過ごす、ハラハラして過ごす、家族や友人や大切な人と過ごす。 様々な過ごし方の中で、2人は一緒に過ごす事を選んだ。 「遥登、笑わずに観てられるか?」 「え? 笑っちゃいけないですか?」 何時もにこにこしている三条が真顔で観てられるのか、少し気になる。 笑って、笑って大変なんじゃないか。 「ものによります。 俺だってツボが浅い訳じゃないんですよ。」 「ははっ、ものによんのか。 そうか。 遥登はやっぱり良いな。 笑って新年を迎えられる。」 肉付きの悪い頬を両手で包んでむにむにと揉む。 リモコンを持ったままの手で腕を掴みにこにこと楽しそう。 「笑ったらケツバット。」 えー、と言いながらも笑うその顔はキラキラしていて年が替わる瞬間もそのままなのが簡単に想像出来た。 「嘘。 痛い事はしねぇよ。 笑ったらその分、遥登からキス。」 「…じゃあ、ずっと笑ってますよ…?」 「大歓迎。」 きっと良い年越しが出来る。

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