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第1116話
「まだインフルエンザの報告はありませんが、先生方も大丈夫でしょうか。
三学年は予防接種を受けていると思いますが、一年、二年生で体調不良の生徒がいましたら検査の方勧めてください。」
朝会を済ませ、出席を記帳する。
職員室の机の上からプリントの類いを手に準備室へと向かう。
廊下へ1歩出ると温度差に身震いをした。
さみぃ
今日は冷えるな
大寒だった昨日より今日の方が冷える。
そういえば、中庭に霜柱が立っていた。
ザクザクと踏んで楽しかったのは子供の頃の話で、今は寒さを象徴するものの1つになってしまった。
あたたかな準備室で身体をあたあめる暇もなく手持ちのプリントを出席簿に変えA組へと歩く。
騒がしい教室前。
扉を開けるとその声は更に耳に届く。
「おはようございます。
遅刻はいませんか。」
「吉田は?」
「腹痛てぇって。」
「田上、欠席かどうか分かるか。
欠席の連絡は来てないんだけどな。」
珍しいなと思いながら出席簿に記入しようか迷ってボールペンのノックを押していると、隣の階段を駆け上がる音がしはじめた。
クラス中が後ろの扉に注目しているとマフラーで顔の半分を隠した吉田があらわれた。
「お、くれましたっ」
「はい、おはようございます。
ギリギリセーフにしとくか。
腹は大丈夫か。」
「それが、めっちゃ痛くて。
薬飲んだんでその内効くかと思います。
だけどテスト範囲まだ終わってないしとりあえず来ました。」
「大丈夫かよ。
無理しないで、限界くる前に保健室行くなり先生のところに来てな。」
それでもクラス全員揃うと嬉しい。
後ろでは三条が吉田の体調を案じている様だ。
今日も1日がはじまった。
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