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第1117話

「センター終わったら次は期末かよ…。 もう頭ぱんぱん…いや、すっからかん…。」 「範囲どこかわかんねぇ…。 なんか色々混じってる…。」 昼休み、机に突っ伏する田上と吉田は長い溜め息を吐き切った。 「吉田、腹大丈夫か?」 「おう。 もう大丈夫。」 たしかに顔を上げた吉田の顔色は悪くない。 薬が効いてくれたのか単に治ったのかは分からないが良かった。 「キャラメルいる?」 「やたー、ありがと。 糖分うめぇ。」 友人達は手の上に転がったキャラメルを口に放り込んだ。 三条も紙を剥ぐと口に入れる。 「そういえば、国語も英語も問題攻めてたんだって?」 「おお、そうなんだよ。 ページ捲ってにんじんと目ぇ合った…。」 「わかる。 俺はきゅうり…。」 今年の古典も攻めていたらしくネットでも話題になっていた。 毎年攻めた問題は最早風物詩な気さえする。 「でも、みんなそうなんだよな。」 「うん?」 受験は1人の事だ。 だが、クラスの殆どが進学希望で入試を受ける。 1人だけど1人じゃない。 三条も吉田も、知佳ちゃんや未知子ちゃんだっている。 友達思いの田上はそう思った。

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