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第1208話

「三條 遙登」 その名前をはじめて見た時、雄大な名前だと思った。 遙か登る。 何処までも高く広い空の様だと興味を惹かれた。 入学式当日、その名前の持ち主を見てる驚いた。 ガリガリの身体を真新しい制服で隠した本人も去ることながら、前をじっと見据えるその目だ。 その目に惹かれ、何時しか手に入れたいとドス黒い思いが膨れ上がった。 そして、あの日。 全てを捨てる覚悟で遥登を犯した。 強姦し、脅迫し、沢山泣かせ、怯えさせ、酷い事をし続けた。 どんな理由があれど決してしてはいけない事をして遥登を縛り付けていた。 それなのに、自分の事を好きだと泣きながら伝えてくれたんだ。 穏やかな笑顔が今は隣にいる。 この身を包むのはあの日の黒ではない。 明るく穏やかな笑顔と深くてあたたかな愛情。 その名前に似た、この季節の様なあたたかさが、身体の奥のやわらかくて弱い部分に寄り添いあたためてくれる。 この身を包むのは遥登だ。 辛い思いをさせてしまったな。 謝ったって済む事じゃない。 だけど謝らない事も出来ない。 でも、遥登には謝罪の言葉よりもっと伝えたい言葉がある。 だから、沢山言っている。 これからも沢山言うからな。 それから、今日は別の言葉も伝えたい。 遙か高くまで登り詰めろ。 息吹かせた芽をぐんぐんと伸ばせ。 遥登なら出来る。 なんせ俺の自慢の生徒だ。

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