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第3話
4月。
長岡は今年度はじめてクラスを受け持つ事になった。
昨年度は3年の副担任。
副任と言えど担任を受け持つ先輩先生方受験生達をサポートし、休み時間や放課後も勉強を聞きに来る生徒達と真剣に向き合ってきたつもりだ。
今年は受け持ちもなく比較的余裕を持てると思ったら…。
しかも1年
3年まで受け持ちになりそうだな…
そりゃ、教職に着いた以上担任を受け持つ事はある意味夢だ。
だが今ではないだろう。
誰にも気付かれない様小さく息を吐いた。
入学式が終わって最初のHR。
名簿順に自己紹介をさせていく。
つい1月前迄は義務教育だったの生徒達の中にはもう髪の毛を茶色くしたり化粧をしたりする生徒もちらほら見られる。
ある程度偏差値のある進学校にもいるんだなと名簿の名前と顔を一致させていると視線を感じた。
…ん?
「三条 遥登です。
○○中出身です。
宜しくお願いします。」
頭を下げちらりとこちらを見る目にぞくりとした。
熱っぽい男を欲しがる目。
被虐の目。
身体が熱を帯びる。
ぞくぞくと身体が昂る。
素知らぬ顔で名簿に向かいながら、微かに口角が上がった。
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