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第19話

身体を拭かれ、髪を乾かされソファにぐったりと横だわる。 三条はびしょびしょになった服とは別のシャツとトレーナーを着せられた。 さっきまで自分が寝かされていた部屋から出てきた長岡はいつの間にか見慣れたスーツを着ている。 「送るから案内を頼むな。」 スマホと財布、カードキーをポケットにしまい、鞄を持った長岡におぶられ部屋の外に出た。 途端、秋風が長岡のにおいを濃く巻き上げる。 この年にもなっておんぶは恥ずかしいが、もう抵抗する気力も体力もない。 それに、 帰してもらえるんだ… 監禁でもされるのかと思っていた三条は安堵した。 いくら貧弱な体格と言っても男の自分を背負いながら階段を降りる長岡に男を感じる。 同性に男を感じるなんて全くおかしな話だ。 助手席に乗せられシートベルトをさせられた。 この頃には三条は長岡のされるがまま。 外で何かする程、担任は頭は悪くない。 正直2人っきりはこわいが運転中に何かするという事もないだろうし、帰してもらえるなら抵抗する必要もない。 後部座席にスクールバッグと紙袋を放ると長岡も愛車に乗り込む。 三条は急かされつつ最寄駅まで案内する事になった。

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