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第7話
喧騒の1日が終わってしばらく経ち、あの日の後日譚を男が聞かされた日の診療所書斎。
深夜遅く、薄明かりの中で呪術師と男が向かい合っていた。
「だって、旦那がなんでもするって言ったんでしょう?」
「だからって…!こんな、ああっ、だめえぇ」
男が背を反らせて悶える。
呪術師は自分の膝に跨り快楽に耐える恋人を眺めながら、優雅に酒を飲んでいた。
男が身じろぎする度に革張りの椅子が軋み、男の着ているメイド服の衣擦れが艶っぽく響く。
クラシカルなタイプのメイド服のスカート丈は長く、端から覗いているつま先には定番のロングブーツが履かれているし、頭部にはご丁寧にホワイトブリムが付けられていた。
定番通り、正しく着込まれた制服に着衣に乱れはなく。肌は殆ど露出していないが、淫靡な機械音がスカートの中から響いている。男根と胎に仕込まれた玩具の音だ。
呪術師の手は男に触れないまま、時たま腰を動かして布越しに男を刺激してやる。
「あぁん!」
「ほらメイドさん。背筋を伸ばしてご主人様に絵本の続きを読んでくだせえよ」
呪術師が煽ると、男が手の中から落ちそうになっていた小さい絵本を掴み直して、ゆっくり読み進める。
「女の子は、ううっ、…言いました…あうっ!…これは、おばあちゃんへの御見舞い品なのよ……あんっ」
快楽に堪えながら読み進める男を見上げて、戯れにスカート越しの怒張を指先ででくるくるいじる。テントを張ったそこは溢れ出る蜜で一段濃い色に変色していた。
「んんっ、はぁっ、……おおかみさんには……あうっ、あげられ、……ひあっ!……ない、の……ひゃんっ!!」
ぐっと片手で握り込まれて男の肩が跳ねる。
摩擦しないように、ぎゅ、ぎゅ、と絞るように掴み上げては離す。
その甘い圧迫感に男は目が回りそうだ。その指先から次第に力がぬけて、とうとう本を取り落としそうになったのを呪術師が受け止める。
「おやおや、大事な本が傷んじまいますよ。しっかりしてくだせえ」
本を男に再び握らせると同時に、もう片方の手がスカートの上から乱暴に尻を掴む。
「ああっ、ご……めんなさ…い、……あんっ!」
やれやれと大げさに首をふる呪術師。
「大体、旦那はなにかってぇとすぐ「なんでもする」って言うから気が休まらねえんだ。まさか俺以外にも言ってねえでしょうねえ」
「言って、あうっ、ないぃ、んぐっ」
「ほんとうですかい?」
「ほんとぉ、ああっ!」
呪術師が下から腰を揺らす度紅く染まっていく逞しい首筋に、汗の粒が光る。
白いエプロンドレスをきっちり着込んだメイドが淫らな刺激に健気に耐える様子は、下手な露出より厭らしく、呪術師の黒い欲望を強く煽った。
「いい眺めだ……アグのやつは本当にいい仕事するようになりやがったなあ」
アグラディアが用意した衣装は実は2パターンあった。
ひとつは任務に採用した「魔獣」衣装。
もう一つがこの「スタンダードメイド服」だ。
クラシックスタイルのメイド服で、一見普通のメイド職女性の仕事着なのだが、その実簡単に引き裂ける脆い素材で出来ていることと、その下に着ている下着が王都の高級娼婦御用達のランジェリーである点でお察しの一品なのだった。
最初衣装を見せられた男は葛藤の末露出が少ないメイド服を選ぼうとしたが、詳細を聞いた呪術師がすごい剣幕で反対した。
「防御面で不安が残る!!」
とか言ってはいたが、アグラディアもメルヴィンも
(こいつ絶対、後で使うつもりだ)
と気づいていた。
実際その通りなのだが。
「ほら、つぎのページですぜ?」
「くうっ、ああぁっ!」
ボタン一つ外さない呪術師がまた腰を突き上げる。お互い露出こそしていないが布越しにこうして尻を突き上げられる度、内部で震える玩具を不規則に揺らされて、男の内壁はすっかり甘く熟してしまった。
スカートに隠された場所、男の反り返る男根と蕾の奥、そのどちらにも呪術師の手により親指の先程の楕円形の玩具が仕込まれている。玩具は呪術師の手の中にあるコントローラーで自由に振動を変えて、決して達しない範囲で男を弄んだ。
ジクジクと奥からにじみ出る快楽と、さらなる刺激への期待に潤む瞳。
哀願の意味を込めて見つめるも、
「どうしました?さあ、読んどくれ?」
と、呪術師は愉しそうに笑うばかりだ。
朗読中、猫がネズミを甚振るように呪術師は男を嬲る。
たっぷりすぎる前戯はそれ自体が目的なのだろう。呪術師は、男の体を快楽の甘い蜜で蕩けさせ、懇願の涙を舐めながら止めを差すのが大好きなのだ。
翌朝男にみっちり叱られるとしおらしく謝るが、「もうしない」と言ったことはまだない。
しばらくは手加減すると言うのが関の山だ。
愛情から来る行為だとわかっているから男も強くは出られない。
だが、今現在されている責め苦はかつてのものより随分と長く、そして念入りだった。
いつの間にか用意された玩具はどんなに身をくねらせても外れないし、なにより呪術師が一向に止めを差してくれない。
男は随分長い間こうしておとぎ話を朗読させられながら、ネチネチ体をイタズラされ続けている。傍らには読み終わった絵本が何冊も積み上げられていた。
「女の子、が、ああっ…狼の誘惑を、ううっ…!せ、せんせぇ、おれ、もうっ」
呪術師の指が手元のスイッチを一段階上げた。
同時に胎の玩具が一層強く振動する。
「ンああぁっ!!」
「ご主人様、でしょう?」
「ご、ゴシュジンサマぁ……もう、ああっ、駄目、イヤぁあっ!」
目を閉じ首を振る男。その眦を滑り落ちる涙を呪術師の指がすくい取る。
「なにが嫌なんです?」
「ひうっ、意地悪、あぁっ、しない、でぇ」
「おかしいねえ。旦那は俺に意地悪されんのが大好だろう?」
「そんなことぉ、ああっ……ないっ!」
「じゃあ、コレはどうです?」
呪術師は隆起している男の胸の頂を、曲げた指背でぐにっと潰した。
「ああンっ!!」
「ほら、ここ虐めてほしいでしょう?」
続けて布越しにこしゅこしゅとすりあげる。直接とは違う、もどかしくも淫猥な感覚に全身の肌が粟立つ。男が喉を反らし悶える。
「ひゃぁっ!だめぇっ!」
「今まで触ってもらえなかったから、随分期待させちまいやしたね」
ワンピースをツンと押し上げる乳首に、呪術師が唇を寄せた。
ちゅぱっと吸い付いて、布ごとコロコロ転がしてやる。熱を帯びた肉芽が呪術師の舌先に嬲られる。敏感過ぎる急所への責めに男が堪らず悲鳴を上げた。
「ああああっ、だめぇ、それダメからぁ!そんなにされたらぁっ!!」
絵本が手から落ちて、堪らず呪術師の頭に縋り付く。
つま先が硬直し、ガクガクと男の肢体が揺れた。
「ありゃあ、雌イキしちまいやしたね。悪い子だ」
蜜液にしとどに濡れている男の男根を今度は直接掴み上げて、玩具ごと激しく上下に擦り上げる。
「あっあああっイってる!イってるからぁ!!」
精液とは違う透明な蜜をコプコプと溢れさせて叫ぶ男。
「本当におっぱいが好きですねえ旦那は。乳首がこんなに美味そうに育っちまって……、もう普通のシャツじゃ直接着られねえだろう?」
そこをぴんぴん指で弾けば、またごぷりと蜜が溢れ出る。
「ひぐっ!…ああぁ…おねがいぃ、もう、もう駄目ぇ……」
男が震える腕で呪術師の頬を包んで、柔らかいキスをする。
下唇を二度食んで、ちゅぱ、と水音をさせて離れると、呪術師の股間を手で撫でながら訴える。
「こいつで、こいつではやく楽にしてくれよぉ……オモチャなんかじゃ足りねえんだ……なあ、お願いだからぁ……」
無意識に腰をくねらせる可愛い恋人のお願いに、呪術師がにやりと唇を歪める。
「俺以外に「なんでもする」って言わねえと約束できますかい?」
「するぅ!約束するからぁ!」
「んー、まあ今回はこんなトコかね」
びりぃ!
呪術師はため息を1つつくと、男のメイド服を一気に引き裂いた。
「ひっ!」
続けて胸部を大きく破り露出させ、スカートにかぎ裂きのスリットを入れると、男の筋肉でできた肢体を猫の子でも運ぶようにコロンとデスクに載せ替えた。
呪術師の眼差しが薄明かりに照らされた男を見下ろす。
エプロンドレス下から現れた下着姿に喉が鳴った。
特上のレースに包まれた胸はむっちりとした質感を強調し、熟れた胸の果実はブラの下でヌルヌルと呪術師の唾液を光らせている。
布面積の殆ど無いショーツからはイクにイケない怒張が涙を流し、スリットの所為で逞しい太ももに食い込む白いガーターベルトが露わになった。靭やかな筋肉でできた脚を包む清楚な白シルクのストッキングは、それ自体が無事なことで陰惨さがより深まり罪深い事この上ない。
それはさながら暴漢に襲われた哀れな子羊。
呪術師は男の上に覆いかぶさり、優しくその頬を撫で、尋ねる。
「……俺が欲しいかい旦那?」
男の耳朶に甘く、あまりに静かに問われるので一瞬男の涙が止まったが、はっとして頷いた。
それが悪魔への了承とも知らないで。
呪術師はあっという間に男に仕掛けていた胎の玩具を抜き去ると、凶器と言うのも生ぬるい剛直で一気に刺し貫いた。
「ああああぁっ!!」
ゴツゴツとした凹凸が蜜壺の内壁を深く抉る。
今までもじれったさに悶えていたそこを、貪るように蹂躙する。
「あんっ、ああっ、はああっン!!」
呪術師は同時にブラをずらして直接口で乳首を吸い上げた。
前歯で挟みこみ下で先端を責めると、呪術師の背中に男の指が食い込む。
「同時はっ、だめぇっ!おかしくなっちゃうぅぅ!!」
「2つが駄目ならこうしやしょうや」
かちり
男の男根に取り付けられたままの玩具のスイッチを最大にする。
「3つ同時だ」
ヴィィィン!
股間の玩具が容赦なく振動した。
「あああああっ!!!」
胸への甘噛みをしたままで深く浅く、悪魔のように剛直が男を嬲る。
残酷なほど張っている亀頭が結腸を超え、あるいは前立腺をゴリゴリ抉るたび、男は流れる涙もそのままに呪術師に許しを乞うた。
何度も、何度も、イカされ失神し、その度に胎で再び復活する楔に意識を叩き起こされて目を覚ます。
だが、失神しても、目覚めても、そこにいるのは悪魔のように笑う最愛の恋人だ。
「……だめぇ、もう……許してぇ!!」
もはやうわ言のように繰り返される懇願に、しかし、呪術師は心底申し訳なさそうに返した。
「謝る必要はねえ、旦那はなぁんにも悪くねえんだ」
ぐちゅん!
また深く侵入されて男が仰け反る。
「あぁぁっ!!また、またイッちゃうぅ!!」
「ただ俺に愛されたのが運の尽きって、それだけのことでさぁ」
すでに聞こえていないだろう男へ、呪術師は愛おしげに呟いた。
…………
翌日、調子に乗りすぎた呪術師は身動きのとれない男に口をきいてもらえず、2日後になんとかベッドから抜け出せるようになるまでそれは甲斐甲斐しく世話を焼いたが怒りは解けず、平身低頭、ようやく許してもらった頃には一週間が経っていたというのは、また別のお話……。
そして同じ頃、
「なんでジェイ様がいないんだ!ジェイ様出しやがれコルァ!!」
「ちょ!人の家に勝手に入ってきてなに言ってるのぉ?!っていうかアンタ誰なんだよぅ!!マジ怖いんですけど!!」
摘発を必死にかいぐぐった極楽鳥が、呪術師に渡されたダミー住所を頼りにアグラディアの家に押しかけて一騒ぎあった事を呪術師達はまだ知らない。
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