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12.学祭2(桃李SIDE)
遂にやって来ました学園祭。
昨日あったリハーサルで全クラスが合唱をし、上位に選ばれた6クラスのみが本日合唱をする。
因みに俺のクラスは4位で上位2クラスには選ばれませんでした。
4位って微妙過ぎる。
せめて3位なら、って、3位でも意味ないか。2位迄に入らなければ。
因みに櫻路のクラスは1位。
良かったなって言ったら、何位でも皆で協力して頑張ったのだからそれだけでも意味があるって励ましてくれた。
ほんっと我が弟ながら出来た弟だ。
惚れ惚れする。
学祭の日のみはカメラ&スマホ持参OKだから櫻路が歌ってる時録画させて貰おう。
因みにスマホは通常持ってくるのは許されているが、学校に居る間は電源を消すのが決まりになっている。
なのでずっと電源を付けたままに出来る学祭は有り難い。
いつも撮れない学校での櫻路を撮りまくってやる。
って、喫茶店もあるし櫻路の仕事もあるから余り撮れないか。
残念。
仕方ないので、一般公開のある2日目、つまり俺達が喫茶店をする日に両親に沢山写真を撮って貰う事にした。
1日目は合唱・色々な発表(英語スピーチや特別クラスの研究発表とか)・外部からの特別講義と演劇&演奏会があり、全て自分が参加しないのばかりだったからかゆっくり楽しめた。
そして遂に2日目。
楽しみだが女装をしなければならない、なんとも微妙な気持ちになる喫茶店が始まった。
開店5分前、皆で円陣を組んで気合いを入れた。
が、絶対優勝するぞ、オー!!って女子よ、目が本気過ぎて怖かったぞマジで。
俺の仕事の順番は呼び込み・裏方・接客。
まずは呼び込みからだ。
同じ時間帯の人達と一緒にチラシ持参で学校の入口・一般受付場所・校内を一周しながら宣伝をするのだが、一緒に回る人達のレベルが高過ぎる。
5人セットで回るのだが、女子二人は周囲の男子が完全に霞む程のイケメンだし、男子は小動物系の可愛いのとお姉様と崇めたくなりそうな美女。
俺、この中に混ざって大丈夫か?
鏡で見た限りは母直伝の化粧のお陰で美少女に見えたが、この4人と居たら激しく自信がない。
まぁ、容姿を競い合う催し物ではないから気にしないでおこう。
呼び込みは女装してるから仕方ないとは言え、男性から熱い視線を向けられまくって精神的に激しく疲労した。
「疲れた」
クラスの控え室兼調理場、つまり裏方の場所に辿り着くなりグッタリすると
「お疲れぇ~。でも接客も相当疲れるぞ」
接客を終えたばかりの人達から肩を叩かれた。
今からは念願の裏方で嬉しいが、その後の接客を考えたら、気が滅入りそうだな。
櫻路に会える時間帯だけが癒しの時間になりそうだが、とりま頑張るか。気合いを入れ直した。
遂に接客の時間になり喫茶店を覗いたのだが、なんだコレ。
女子は男装のイケメン執事に蕩けそうな位恍惚とした表情を浮かべているし、男子はメイドに鼻の下を伸ばしてデレデレしている。
因みに女装が激しく似合っていない方々はお笑い芸人並に笑いを取りに行っている。
激しく輪に入りづらい。
が、仕事だし逃げれない為頑張って足を踏み入れた。
予行練習で教えられた通りに接客するのだが、台詞が恥ずかしい。
おかえりなさいませ、ご主人様。行ってらっしゃいませ、ご主人様。って、言いたくないが言わねばならない。
尚且つずっと笑顔だし、疲れる事この上ない。
早く終われぇ~、ニコニコしながら時間を気にする。
その上、忙しいのか櫻路も来ないし、全く癒されない。
楽しいか楽しくないかで聞かれたら楽しいになるが、女装じゃなければもっと楽しめたのになぁって思う。
閉店時間10分前、漸く櫻路が来店した。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
笑顔で迎え入れたら
「ただいま、桃李」
キラキラ輝かしい極上の笑みを見せられ、俺だけでなくその場に居た女子全員を骨抜きにした。
ヤバイ、俺の弟格好良過ぎる。
頼んで貰った珈琲とピザトーストを運び、テーブルに乗せる。
頑張ったご褒美にクラス委員長が閉店迄ゆっくり弟の接客して良いと言ってくれた為、通常は食事の配膳のみだが櫻路と一緒に居させて貰う事にした。
1杯と知っているが
「ご主人様、お砂糖は何杯入れますか?」
「ミルクは入れますか?」
甲斐甲斐しく聞きながらカップに砂糖とミルクを入れる。
「他は何か入れてくれないの?」
聞かれ
「愛情はどれ位入れますか?」
ノリで聞くと
「溢れる位」
言われたのでカップに向かってハートを作りながら
「美味しくなぁれ」
ポーズを取る。
「はい、美味しくなりましたぁ」
他の人には恥ずかしくて出来ないが、櫻路には出来る。
なんかめちゃくちゃ楽しい。
その後は櫻路の膝上に座ってピザトーストを食べさせたり、何故か食べさせられたりしてたらあっという間に閉店時間になった。
あ~あぁ、結構楽しかったのになぁ。
落胆したら
「それ買い取って家で続きしよ?」
耳打ちされ、色々期待して真っ赤になってしまった。
楽し過ぎて完全に周囲の目をシャットダウンしてしまっていたのだが、教室から櫻路が居なくなった瞬間、萌えた・ブラコン過ぎ・仲良過ぎ・微笑ましかった等々言われ、一気に恥ずかしくなった。
しまった。膝抱っこ&食べさせ合いは人前でしたらダメなヤツだった。
いつも家では当たり前の様にしてたから感覚麻痺してた。
大失態。
まぁ、気にしない気にしない。
忘れよう。
閉店後は男子は片付け。
女子は外部に依頼していたカメラマンからの写真を色々整理して、予約されている分の写真・写真集に使う写真の選考&編集を始めた。
因みに写真&写真集の予約金も売り上げに入っているので喫茶店の売り上げは結構多そうだ。
上位に入れば良いなぁ。
........………….。
はい、現実はそんなに甘くありませんでした。
ウチのクラスは売り上げ2位。
ミュージカルを取り入れた他のクラスの喫茶店に敗北しました。
だけど僅差だったらしく、残念賞として食堂1ヶ月無料券をGet。
因みに優勝クラスは一人一人にネズミさんの夢の国1デーパスポート3枚配布。
羨ましい。
が、本来は何も貰えなかったんだから貰えただけラッキーだ。
クラスのテンションは上がった。
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