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第1話
「ごめんね、君とは付き合えない」
学園の王子様。
僕の憧れの人。
僕だけじゃない。学園の誰もが彼に憧れ、そして大勢が彼に恋をしていた。
ここは男子校だ。それでも...。
男を恋愛対象に含まない人だって彼を目にすれば心踊り、いつしか憧れが恋愛感情に変わるのだ。
初めて男に告白した。
彼の親衛隊員の追手も振り切り、やっとの気持ちで彼に告白した。
僕は自分で言うのもなんだが、かなり美人だと思う。
サラサラの黒髪に男らしい筋肉質な彼の腕に抱かれるのは、むさくるしいほかの奴らより僕の方が似合っていることは誰が見てもわかることだろう。
それなのに。
彼は僕の告白を一瞬も考えずに断りの返事をした。
「...な、...なんで...ですか」
「俺には付き合ってる人がいるから。彼のことがほんとに好きなんだ」
だからごめん。そんなふうに僕の王子様は王子らしく微笑んだ。
「誰と...って聞いてもいいんですか」
もうこうなったらとことん突き詰めて、僕が王子を奪ってやろうと思っていた。王子と付き合ってる美人は誰なんだ。
「...え」
でも王子の口から出てきた名前は意外なもので。僕の隣の席のやつの名前だった。
中肉中背。成績が良いわけでも、スポーツマンでも、そして美人でもない、さして目立ちもしない男だった。
「...僕のほうが彼よりよっぽど王子に似合うと思います」
「......君にそんなこと決める権利なんてないよ」
王子の冷めた目は今でもかなりのトラウマである。
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