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第2話

なんで僕じゃないんだ。 ずっと王子に認められるために、彼に好かれるために、彼の隣に立つために。 努力してきた。 どうしてこんなにかわいい僕じゃなくて、ヤツなんだ。 常に気だるそうで、猫背。何にも興味を持っていないような瞳。進級に足りるほどしか授業を受けず、僕の隣の席は基本的にぽっかりとしていた。 次の授業は体育か......。 なんだかあんなやつのことを考えていたせいなのか僕自身まで授業に出るのが億劫(おっくう)になってきた。 それに次の体育に出ると同じ学年の王子とは必ず顔を合わせることになる。 まじめに授業に出る僕が、普段は使わない保健室へ足を踏み入れることになった背景はこういうことであった。

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