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第3話

「失礼します...」 「一年生...?」 養護教諭の座るはずの椅子に座っているのはチャラついたイケメンだった。 唯一養護教諭だと判断できるのは白衣を着ているという点だけだ。 「二年です。二年の七瀬 萌里(ななせ もえり)です」 「ああ二年ね。次体育だしねぇ。そう、俺今年から前の田中先生が産休の間保健医を任された成宮 雅(なるみや みやび)先生で~す!よろしく~!」 保健室来室者名簿に僕の名前を書き足す彼。僕が初めて彼を認識したのも、今年から来たからか。 それにしても、まるで僕が体育をサボりたくて保健室に来ているみたいじゃないか。 「...萌里、ねぇ...。あっ、思い出した!すごい美人の子だ!」 長い足を組み換え、思い出したと言うように人差し指を、僕へ向ける。 「いやぁ、かわいい名前だけど顔も見劣りしない美人だなぁって検査の時に思ってたんだよねぇ」 嬉嬉として彼は立ち上がり、僕の肩に手を乗せた。 「...やめてください。僕は体調不良で来たんです。寝かせてください」 先生へ目も向けずにベッドへ向かう。 「え、...」 カーテンを開くと二つあるベッドの片方には、人がいた。 そしてその寝ていた人は、例の彼だったのだ。 そう、王子の彼氏だ。 「...なんで...」 「...ん......?」 「なんでお前なんかが、…王子と...!」 「七瀬...?」 そいつは目をこすり顔をあげた。 僕がこんなに敵意剥き出しなのに、そんな無防備な姿を見せてくる。 王子に見せているであろうその姿を僕に見せてくることが不快でしかない。 「いなくなればいいのに」 「なっ、なせ…何...これ」 気づいた頃には僕はそいつの上に馬乗りになって首をしめていた。 「僕のほうがずっと...好きなのに...っ」 「...七瀬...!くるし...」 「なんで...っ...僕のほうがっずっと...」 「やめろ」 僕の手をやつの首から引き剥がしたのはその養護教諭だった。

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