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錦田教授のメモ②-2

 その日の夜、イオリと共に火の部屋と入る許可を取るために乙姫に会った。  乙姫は静かに微笑み、イオリと私を従えて、城の外にある離れの「火の部屋」へと導いた。  厳重に警戒された離れの入り口には、2人の門番がいた。門番は乙姫の姿を確認するとぴんと張った背筋を更に正して乙姫を迎えた。私とイオリの姿には目を向けることなく、静かに頭を下げ続けていた。  火の部屋の天井には大きな空気口があり、天井から吊るされた籠に乗った使用人が懸命に大団扇で扇いでいた。小部屋がいくつかあり、各部屋はよしずで仕切られている。よしずの隙間からはうっすら煙が漏れていて、部屋の中でうごめく人の姿が絡まる様子も見てとれた。  「イオリ、やっておあげなさい」  乙姫の号令により、イオリは袂から出した繊維状の「亀」を紙に巻き炙り始めた。  私は黒い塊の「亀」を食べるようにして摂取したことしかない。  私はイオリが差し出した亀の煙草を、ゆっくりゆっくりと吸い込んだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    錦田教授によれば、アヘンは経口摂取よりも炙って吸い込む方が即効性がある上に依存性も高い。「火の部屋」の存在は、アヘンの喫煙は身分の高い者だけに許されたものとされていたことの証明になるのでは無いかとのことであった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  私は床が背に吸い付くような、床のほうから自分自身の背に近づいているかのような速度で、倒れこんだ。しかし苦しくは無い。  まるで身体が浮いているかのような軽さになり、痛かった腕もひざも、すべての痛みが取れていくようだった。  イオリは、中指にを塗りこむとゆっくりと私の肛門へ差し込んで抜き差しをした。私はあぶった亀を吸った後は、頭がすっきりとし、痛みをまったく感じなくなっていた。  イオリは私の耳元で「気持ち良いですか?」とたずねた。  高揚感が肛門周囲を熱くした。ゆっくりと勃起した私に、イオリは首輪を付けて頬を数回殴った。痛みは無かった。

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