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第10話
「ギイ・・・僕を・・捨てないで・・お願いだから・・・」
瞳一杯に涙を溜めて俺に訴える。
ウルウルした瞳で見られると変な気分にもなるよな。
「タクミ・・・捨てたりなんかしないよ。
タクミは俺の大切で特別な猫だろう。
どんな姿になっても捨てたりなんかしない。
だから・・・もっと側においで・・」
俺は優しく小さな子供を諭すようにタクミに話しかけた。
するとタクミは少しづつ俺に近づいて来てくれる。
チリーン・・チリーン・・と首輪の鈴を鳴らして近づいて来た。
「ホント?
ギイの側にいてもいいの?」
不安そうに聞いてくる。
だから、俺はタクミを捕まえると、膝の上に抱き上げた。
「ほら、大丈夫だろ?
・・・ずっと俺の側にいてくれるんだろう?」
「ギイが・・・いていいって言えば・・・ずっといる。」
「バカだな・・・こんなに可愛いタクミを何処かにやるはずないだろう」
俺はこの愛らしいタクミを抱きしめた。
強く・・・強く・・・
あぁ、神様・・・感謝します。
俺の願いを聞いてくれて・・・
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