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最終話

  「な、次は誰と見合いすんの?」 アレから二週間が経とうとする頃だった。見合い写真を広げて相手を確認していた青年は少年に訊ねられてる。 「大公のところの三男」 青年はしれっとした顔で答えた。 「三男?」 「滅法な女好きらしいからその鼻へし折って欲しいって」 「ソレって、もう見合いじゃねぇだろう?」 「うん、何か最近人生改善ばっかりさせられてるような気がする」 「気がするって、呑気だな?」 ベッドの上でぴょんぴょんと跳ね廻っている少年の姿を見て、青年は呆れる。 「ソレ、虎の前でしたら一瞬でぶっ倒れるから止めてよ?」 「ん?当たり前だろう?ま、コレでアイツの浮気が治るんだったら見せるけど、ソレはねぇだろう?」 「そうだけど、捨てられるよ?完全に」 青年が見合い写真を閉じて、少年を見たら真っ青な顔をしていた。 「あ、ゴメン。言い過ぎだね。完全にじゃなくって即行でにしておくよ」 「どっちも同じじゃねぇかよ」 少年は跳ねるのを止めて大人しくベッドに横たわる。 「そうそう、そうやって潮らしく虎の帰りを待ってなよ」 「お前、自由になってから物凄く性格がキツくなったぞ」 「なってないよ。連華の腹黒さに比べたらまだまだ可愛い方だよ?」 「何か、物凄く釈然としねぇんだが?」 本当のことを言われて撫廃れる少年に青年は笑ってこう訊く。 「でも何で、虎なの?」 「ん?虎だから?」 理屈ではないのだろう。だが、青年は首を傾げる。少年はわざとまわりくどいことをして楽しんでいるように思えたからだ。何か、人間で遊んでいるみたいで、何時でも楽に手に入れられるんだと言うあざとい感じがしてイイ気がしなかったのもある。 「だったら、さっさと手に入れたら?」 「そうしたら、アイツの心が手に入らねぇだろう?外身はお前と同じ何だからお前でも間に合うが、中身はアレじゃねぇと意味がねぇ」 難しいんだよ。色々と。そう呟く少年はどうやら虎と言う魂が愛しいらしい。青年は意外な顔をして暇つぶしじゃなかったんだと呟いた。 「うるせ、オレはごうつくばりなんだよ」 近場にあった枕を投げ付けられて青年は腹を抱えて笑った。 与えられたければ与え続けよ。誰もが愛を欲しているのだと。 END  

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