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出逢い

僕は旅が好きだ。 旅をして、色々な人と出会って、別れる。 そしてまた新たな人と出合い、別れる。 同じ人と再び出会うことは限り無くゼロに近い。 別れた直後は多少の哀しみを覚えることもあるけれど、新しい出会いが直ぐにそんな哀愁を消し去ってくれる。 産まれた時から一人で生きてきた僕にとって、他人との距離はこのくらいが調度良い。 あまり深く関わることもなく、その場限りの楽しさを、その場限りの関係の人と共有するような距離感が調度良い。 だけど、僕の価値観とはまるで逆の生き方をしている人も存在する。 そんな人を旅の道中何度も見てきた。 彼らには自分にとっての「想い人」が存在するようで、「想い人」の周りを飽きもせずに回っている。 その姿はまるで、「想い人」を他人に取られないように見張っているようにみえるから、僕は彼らのことを勝手に「親衛隊」と呼んでいる。 「想い人」一人に対して、「親衛隊」が必ずしも一人とは限らない。 二人や三人...それこそ何十人の「親衛隊」をも従える「想い人」も存在する。 先程ちらりと目に写った(「地球さんっ!」と呼ばれていた気がする)イケメンには「親衛隊」が一人だった。 その「親衛隊」の気持ちはまだ理解出来る。 「想い人」からの愛情を一心に受ければ離れがたくもなるだろう。 しかし、今真横にみえる大きなリングを見せびらかすように纏ったホスト風のイケメンには多分50人以上の「親衛隊」がいる。 ホスト風イケメンにとって誰が本命なのか知らないが(そもそもこの中に本命がいるのだろうか)、残りの所以遊ばれている「親衛隊」たちは何故それを許容して彼の側にいることが出来るのだろうか? 僕には全くその心情を推し測ることが出来ない。 いや、そもそも知る必要などないか、と思っていた...この時までは。 ホスト風イケメンから目を離し、前を向いた瞬間、貴方と目が合うまでは...。

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