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第12話

何度も早矢兎の精を受け虎彦は満足げに目を細めて深く息を吐いた。散々上で動いていた癖にその顔に疲労は微塵も見えずますます精気に満ち溢れている。 「長い間貴方の中に溜まっていた(ゆがみ)はこれで整ってゆきます。差し上げた薬はもう服用しなくても結構ですよ。さあどうぞお帰りになって、私との事は忘れ許嫁殿のケリをつけてお仕舞なさい」 早矢兎の視界のなかで虎彦の輪郭がぼやけて膨らんでゆく。 最後に留めた人の形で一つ身震いをするとその塊は深い闇の中に跳ねていった。

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