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第2話

「…だりィな」 「今日は特に」 「昨日も一昨日もそれ言ってたくね?」 サボりの定番といえば屋上。俺たちも例に漏れず青空を眺めながら惰眠を貪る。 サボってるからって別に不良じゃない。周りからは不良だとか言われてるらしいけど違う。 俺達はただ不真面目なだけだ。 「そういや六時間目って英語じゃねぇ?」 ツンツン立てた髪を気にしながら隣で寝転んでいるのは鳥飼 拓海(とりかい たくみ)。 小柄で明るくてバカで、いつも笑っているムードメーカー的存在。 言っておくが寝転んだ時点で後ろは崩れてるはずだ。 「あー…かもな」 タバコを吸いながら面倒臭そうに答えるのは牛島 歩(うしじま あゆむ)。 拓海と違って無表情でいつも怠そうな、何考えてるかよくわかんないいヤツ。しかもすげぇ口が悪い。 それもう何本目だよ…と思いつつ見て見ぬふり。 「どうでもいい」 そして俺が 兎丸 慧(とまる けい)。 俺たちは中学の時からの腐れ縁でいつも一緒だった。 趣味が合うわけでも家が特別近いわけでもない。たまたま同じ場所で、たまたま同じ時間に、たまたまサボっていただけ。それが何度も重なり今に至る。 「英語ってあれじゃん、うちの担任。確か……」 「獅子原な」 拓海の言葉に歩が答える。 それがどうした。俺はソイツを嫌いでもなけりゃ好きでもない。 っつーか顔すら思い出せない。 「探しに来たらどうする?」 「こんな真冬に屋上なんて来ねぇよ。一月だぞ、今」 寒空の下ポツポツと交わされる会話。 このクソ寒い中コートを着込んで寝てるなんてバカだと思うだろう。 「もしもの話だっつーの!」 「どうもしねぇ。慧は?」 「……どうでもいい」 顔すら思い出せない担任なんて興味もクソもねぇ。それより眠たい。今すぐ帰りたい。 ―あの頃の俺は、そう思っていた。

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