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第49話
「やだぁっ!!いや、いやぁ…ぁあっ」
「いやいや言って締め付けてんの誰だよ」
グチュグチュと激しく水音が鳴る。
後ろに突き立てられたリカちゃんの性器が容赦なく俺を攻め立てる。
「やだっ、リカちゃん…やだぁッ!!」
逃れたくて身体を捩っても拘束された手じゃ何も出来ない。
それどころか、手首に巻き付けられたネクタイが食い込んで痛い。
身体を捩じって逃げようとする俺を、背後から押さえつけるリカちゃんが怖い。
それなのに……触れ合えることが嬉しくて、嬉しくて嬉しくて俺は顔を見えないようにして喜んでしまう。
「俺が仕込んだ身体で誰を誘った?なぁ。そんなに抱いて欲しかったのかよ…っ…慧」
「ひ、ひっ、やだ……や、だ、あぁっ」
抉られるように深く穿たれ、目の前が白く弾けた。
リカちゃんによって強制的に与えられる快感に、俺の性器からは止めどなく蜜が溢れていく。シーツに伝う透明なそれは、俺が悦んでいる証拠だ。
「あッあぁ、ぁ、ぁ」
「その声も聞かせてやったのか?なあ?答えろ」
「あぁぁぁっ……あっ、いや」
先走りを出し終えた俺の性器から、ピュッと白濁が飛ぶ。すると、後ろに刺さったままのリカちゃんの性器がまた膨らんだ。
リカちゃんも気持ちいいんだとわかって、後ろがより窄まる。
「リカちゃ、リカちゃんっ!リカちゃ……っあ、あ」
「…慧…慧なんで…っ…」
俺はやっぱりリカちゃんが好きだ。誰に止められても、諦めろって言われても好きだ。
好きで好きで好きで好きで。好きで仕方ない。
こんなに強引なセックスですらリカちゃんと繋がってると思うと幸せで。気持ちよすぎて、幸せすぎて…後ろをキュウキュウと締め付けてしまう。
奥で重量を増したリカちゃんが、耳元で囁く。
「ん……出、そう。どこに出してほしい?」
出そうと言いながらも、リカちゃんのその動きは鈍る事はない。俺の身体を揺すって、肌をぶつけて、そして蕩けさせる。
「んぁッゃ、ひっ……」
前立腺を埋められた切っ先でグリグリと押されて、また快感の波がやってくる。
「やぁ、ダメ……また、イっちゃ……リカちゃん、イク、もうイク」
「もう完全に後ろだけでイける身体になったな。エロくて可愛すぎ……」
全部リカちゃんのせいなのに。今の俺は、リカちゃんが触ってくれればなんだって出来る。
どんなことだって出来るから俺に触っていてほしい。その願いを込めて、リカちゃんを呼ぶ。
「中と外、どっちがいい?」
リカちゃんは悪魔だ。手を縛りつけて、無理矢理抱いてるくせに俺に求めさせるなん意地が悪い。
けれど、正直すぎる俺はリカちゃんにすぐ答えてしまう。
「んっ、ぁ、中、中に出してっ! リカちゃんの全部……っ、欲し」
「…………ワガママ。なぁ……俺にだけ、だよな?」
ワガママでも何でもいい。もう遊びでもセフレでも気まぐれでもいい。
この身体に飽きるその時まで、俺に触れて俺を求めてくれれば何をされてもいい。
「リカ、ちゃ…だけっ!だけ、だから……んぁっ」
思ったままそう口にすれば、リカちゃんは優しく…それでいて辛そうに笑って俺の額にキスを落とす。
「慧……一緒にイこう?」
「んっ、あぁっ……あっ、イク、もう無理っ」
「慧…慧、慧」
何度も俺を呼ぶリカちゃんの瞳が揺れる。あまりにも苦しそうなその表情に、思わず「好き」と言いかけた俺の口を、リカちゃんがそっと手で塞いだ。
「頼むから言わないで」
「なっ…んで…」
好きとも言わせてくれないリカちゃんに、俺の目から涙が溢れた。
受け入れてくれないだけじゃなく、告げさせてもくれない。リカちゃんにとって俺からの『好き』は何の意味もないのだろうか。
それを聞くことすら煩わしいと感じるほど…なのかもしれない。
『好きになってごめんなさい』それを伝えたくて、頷く。
「慧、ちゃんと俺のことを見てて。全部伝えてあるから、だからそれで許して」
残酷な現実を突き付けた張本人が俺の名前を呼ぶ。
そんなこと言われなくても俺にはリカちゃんしか見えない。
俺の目は、リカちゃん以外は霞んで見えてしまう。リカちゃんだけがカラーで後は白黒だ。
どこにいても、何をしてても、俺はリカちゃんだけを探し見つけ出す。
リカちゃんが手を覆ったまま俺にキスをする。手のひら越しのキスからは何も伝わってこなくて、また涙が零れた。
「……泣かしてばかりで、ごめん。近づいてごめん」
何かを押し殺したリカちゃんの声が切ない。
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