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第11話
子供の頃。
夜中に目を覚まし、トイレに行こうと廊下に出ると何時も鍵が掛かっている部屋から灯りが漏れていた。
何があるのだろうか。
子供の好奇心で、足を忍ばせそっと部屋へ近付いた。
ドキドキと胸を高鳴らせ覗いた鍵穴の向こうには――恍惚とした表情の母が居た。
あの時の母と私は同じ顔をしているだろう。
母は少々手荒くされるのを好み、優しい父はそれが辛かったに違いない。
それでも母の欲望に従ったのは愛と言う鎖で繋がっていたからだろう。
縄で縛られて居たのは母だったが、本当の意味で縛られて居たのは父の方だった。
私とダルクの間に愛はない。あるのは贖罪だけ。
肌を重ねる度、シャツから覗く傷痕に顔を顰めながらも、必死に私を抱く姿に見えない鎖で縛り縛られているのを感じ、私は愉悦に顔を綻ばせた。
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