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第12話
箍の外れた獣のように毎晩逢瀬を繰り返していたが、療養かねての長期休暇も終わり、二ヶ月ぶりに登城した私の耳にダルクの見合いの話が飛び込んできた。
聞けば、相手は宰相の娘。
贖罪をたてに断らせる事を考えるが、バカな考えは一瞬にして消えた。
断れば地方へ左遷は免れず、ダルクとは離れ離れになってしまう。そんな事耐えられない。
このまま秘密の関係を続ける事を考えだが、バレれば左遷どころではすまなくなってしまう。
終わりにしよう。
冷静な自分がそう思う反面、愚かな自分が嫌だと叫ぶ。
折角手に入れたあの男を誰かに奪われるなど、我慢できない!
嫌だ!
嫌だ!!
冗談じゃない!!
執務室に積み上げられた書類に当り散らし、机の上のカップを壁に叩き付け、部屋を荒しに荒して考えるが、何も案は浮かばなかった。
どれだけ考えても。考えれば考えるほどに、彼が今まで積み上げてきたもの取り上げる訳にはいかないと、冷静な私はそう結論付けた。
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