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第207話
「あぁ…でも幸せだよ」
苦笑いしながらも、アキラの頬に優しく唇を寄せて…
そう囁く…
アキラがいなかったら…
独りきりだったら…
こんな気持ち味わえないから…
「良かったな」
アキラはクスっと笑って呟く…
そんな様子のアキラに…つい聞いてしまうみずき…
「アキラは?」
「ん…?」
「幸せ?」
ちゃんとアキラに幸せを与えられているのか…
心配になってそう囁く…
「ん…そうだな、幸せ…かな」
まだ自分の身体の自由がきくから…
自分で好きなことができるし…
不自由なことはない…
それに…愛されているという感覚を日々実感できる。
誰かに求められることは、幸せなことだから…
でも、それを言うなら…
BOUSで無理矢理求められることも…
喜ぶべきことなんだろうか…
たとえ、身体だけでも…
誰にも相手にされなくなるよりは…
ふとそんなことを思うアキラ。
「良かった」
みずきはアキラも幸せに感じてくれていると思って、優しく髪をなでて安心する。
純粋に喜ぶみずきを見て…
心に思ったことを打ち消すように…
「からかうと面白いみずきいるしな」
そっとみずきの唇にキスして微笑む。
「アキラ…」
不意のアキラからのキスにドキっとして軽く動揺しながらも…
優しく受け止める。
「アリガト…みずき」
一時でも…
幸せをくれているみずきへ…
好かれているうちが華…
しばらくは…この恋人ごっこを楽しんでみよう…。
この温かさをくれるみずきと、別れる時を思うと…
きゅっと胸の奥が締め付けられるような痛みを感じながら…
それを無視して…
アキラはみずきに触れながら、ぽつりと思うのだった…。
《飽きるまで…》終
【スナオになれない②】完結。
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