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【儚い雪の結晶1】クリスマス特別篇
「寒くないか?大丈夫?」
その傍らにいる愛しい人を心配するのもクセになりつつある…
自分より一回りは小柄で華奢な彼…
「まぁ冬だし、ちょっと寒いけど大丈夫、心配性だな」
肩ほど伸びた淡い栗色の髪を耳にかけながら、西洋人形のような綺麗な顔を傾かせ、クスっと微笑んで答える愛しい人…
自分より3歳年下で、もうすぐ19歳になるその彼を、何年も片想いし続けて…ようやく想いを伝えることができて…
そして付き合えることになった…
俺、鈴鹿みずきと、一緒に暮らし始めたのはつい先月…
愛しい人との今を、何よりも大切に想う。
恋人同士として過ごす初めてのクリスマス…
しかし、自分はあいにくの仕事…
彼は職場のコンビニまで一緒に来て、俺の仕事が終わるまで、時間を潰していた…
仕事も終わり、夜のクリスマスの街に出る。
少し繁華街から外れた場所にあるコンビニ…
もうかなり遅い時間のため、人もほとんどいない…
「じゃ、帰ろうか」
優しくその愛しい人を促す。
「うん…」
コンビニの前に停めてある大きめのバイクのそばまできて…
「腕、大丈夫か?」
また気になり聞いてしまう…
「平気!もうしつこいな」
すると彼は、ややむっとしたように顔をしかめ声を出す。
「あぁ、すまない。行こう」
すぐに謝り、苦笑いしながらバイクに乗る準備をする。
いつも2人乗り…
自分が運転して…彼が後ろに乗る。
彼が健康体なら…そこまでは心配したりしない…
彼の持つ病を知ってしまってから…
なおさら…
彼は…不治の病を持っていた…
筋神経伝達がうまくいかなくなり、力の加減が難しく、時には腕や身体が麻痺して、苦痛を伴う激しい発作を起こしたりする。
そんな、特殊な病を持って生まれてきていた…
成長とともに徐々に身体を蝕んでいく進行性の病…
未だ治療方法のない難病…
症状が進行することで、命の危険も出てくるという…
そんな重い宿命を抱えている。
それが…俺がただひとり愛したひと…楠木アキラだった…。
それでも愛しいと思う気持ちは変わらない…
そんな難病に負けないよう一人で生きていこうとする彼の姿には…
心を打たれ…愛しさが増していく。
彼のために何かしてあげたい…
そう…心から想う。
バイクに乗る際も、うまく掴まることができないため、途中で落ちてしまうかもしれないと言われた事が有り、後ろに乗せるのは毎回冷や汗をかく…
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