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番外編 浬と八尋のその後

ようやく浬が八尋の元に帰ってきて二人ゆっくり暮らしていける筈だったのだが 帳から協会に戻ってこいと言われた ルシェルと協定を交わした帳 人を襲う吸血鬼の駆逐の協力と浬のような半吸血鬼が安心して暮らせる地をつくると言うものだが まだまだ不十分 ルシェル派ではない吸血鬼の不満は拭えない 勿論協会内からも異論が出ている 吸血鬼が約束など守るはずがないと…… それでも藜の意志を継いだ帳はなんとか彼らを抑え込んで吸血鬼と協力関係を得ようとしている いずれ吸血鬼も人も同じように…… 壁の無い関係を築けるようにと……… そして帳は戦闘能力の高い八尋には引き続き吸血鬼の駆逐をして欲しいと考えている それと半吸血鬼の浬との関係を生かして 彼らの居場所づくりに協力して欲しいとの依頼を帳が八尋へお願いしてきた 「俺はまぁ……浬と居られるんなら戻ってもいいし 半吸血鬼の居場所をつくるってのは賛成だけど…… あとは浬が何て言うかな?」 「あいつは何も言わないだろうな お前が危険にさらされるのは反対なのだろうが お前が決めたんなら黙って頷くだろう」 「…………」 確かに浬は基本嫌だと思っても我慢する癖がある だから今回のことも仕方ないと諦めて八尋を見送るだろう しかしかといって浬を不安にはさせたくはなかった 「はぁ……めんどくせ……」 面倒だと思いながらこの事を浬に伝えると少し眉を顰めるも予想通りの言葉が返ってくる 「仕方ないよ 八尋がいてくれるなら俺みたいな半吸血鬼でも居場所が作りやすくなるだろうし」 「………」 「その為なら俺も何かしたい 俺もルシェルの望む世界を一緒につくりたい」 「そうだな」 一緒につくりたいと屈託なく笑う浬 こうして八尋は協定へと戻った そんな八尋を帳が出迎える 「大丈夫か? 身体鈍ってはいないだろうな?」 「問題ねぇよ これでも一応鍛えてたんだからな」 「そうか ならいい……」 そして八尋は再び戦場へと戻ったのだった

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