それから夜になり風呂にはいる ルシェルが一緒に入ろうかなんて言い出したが そこは丁重にお断りした でも一人で入るなんていつぶりだろう？ いつも八尋と入っていた それを思うと寂しさが込み上げる ｢八尋……｣ 浬は涙を流しながら顔まで風呂に浸かった その後、風呂を出て以前使っていた浬の部屋へと足を運ぶ そこは以前と変わらない来たときのままだった その様子にさっきまで寂しさばかりが押し寄せていたのに今度は懐かしさが溢れてきた そうだここにいたときも色々あった またここでの生活が始まる そう覚悟を決めなければならない 暗い部屋の中浬は月明かりの綺麗な外を見る 今日は満月だ その大きく美しい月を見ていたところ 後ろからそっと誰かに抱き締められた ｢ルシェル？｣ ｢月、今日は満月だね｣ ｢うん｣ そう言うとルシェルはすんと浬の匂いを嗅ぐ そして首筋をペロリと舐める そのルシェルの目は赤く染まっていた ｢ん……｣ そしてルシェルはそっと浬の首筋へ牙を立てた 感じる鈍い痛み いつも八尋へしていたことを自分がされている 慣れないことに少し体が強張った するとルシェルは大丈夫と言わんばかりに 浬を抱き締める腕に力が入った ｢ぁ……｣ 暫く浬の血を吸った後牙を抜き傷跡を舐める 彼の牙で傷ついた首筋だが吸血鬼の治癒能力もあってすぐに血が止まった ルシェルが浬から離れお互い向き合う形になった そしてルシェルは浬に優しく微笑む ｢浬もいる？｣ ｢いや、まだ大丈夫……｣ ｢そう｣ その後一緒にベッドに入って一緒に眠る ルシェルは反対側を向いている浬に手を回す そして体を密着させてくる ｢愛してるよ浬｣ そう耳元で囁いてくる ｢……それは親として？弟？ それとも……｣ ｢さぁ？どうだろうね｣ まぁどんな愛だろうがどうでもいい 浬は彼と共に歩むことを決めたから