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乱れ牡丹 続

視界が急に明るくなり。斎藤は、やもすれば閉じかける瞼を緩慢に開いた。 沖田に抱きかかえられたまま押入れの下の段から出たのだと気づいた。 「おきた・・?」 (なにす・・) 「しっかり掴まっているように」 とろんとした瞳を返してくる斎藤の耳元で沖田は囁き、片手で斎藤の尻を支えるなり脚に力を入れ、互いの身を立ち上がらせた。 「っ・・う・・ぁ・・!」 向かいあった状態で立ち上がった刹那に、斎藤の内に在るままの沖田の身が、深く奥へ滑り込み、 斎藤は沖田に抱きかかえられたまま小さく喘いだ。・・のも留まらず、 「・・ん・・ッ」 押入れの段に斎藤の尻が当たり。腰を押しやってくる沖田との間に挟まれ、 「っあ・・ぁ」 斎藤は突き上がる快感に立っていられずに。がくがくと膝を折ってしまった。 「おっと、」 両手で斎藤の腰を掴んで支えた沖田が、そんな斎藤を愛でるように目を細めるなり、 斎藤を持ち上げ。 「っ・・・ぅん・・っ」 今度は菊内を沖田の身が抜け出てゆく感触に、斎藤が声をあげるのを 聞きながら沖田は、 両手に掴んだ斎藤の腰を持ち上げきって、押入れの上の段へと斎藤を座らせた。 追って登ってくる沖田に、わけがわからずもとにかく場所を空けようと体をずらした斎藤の、 背後へと先に沖田が回り込んだ。 (?) 斎藤は首だけ振り返り沖田を見やった、・・時、 再び腰に、沖田の大きな手を感じ。 刹那、ふわりと身が浮き、尻におぼえる布団の感触が去った。 両脚を宙に投げ出して段のはしに座り込んだ沖田の、その太股の上へと座らせられたのだと斎藤が気づいたのも否や、 「っあああ・・!!」 まだ収縮してやまない斎藤の菊口へと、沖田が互いの着物の裾をめくり上げながら、背後からいきなり突き挿れた。 「お、き・・ッ」 いつのまにか夕暮れの明かりが、この土方の部屋へと差し込んでいる。 あと少しもすれば、土方が帰ってきてしまうのではないかと。 自分の部屋へ帰ってきたら、沖田が斎藤を後ろから抱きかかえて押入れの段に座って、なにやらしてるのを目撃・・なんてことがあっていいわけがない。 だが、 「もう・・やめろ・・っ」 「それをいつまで言っていられるやら」 逃れようとした斎藤の体を、後ろから羽交い締める沖田は、 斎藤の後ろ耳を舌先でなぞり、軽く噛みつき、 「っ・・あ・・!」 同時に腰を下から強く突き上げ、斎藤の奥深くへと容赦なく潜り込む。 そのまま円を描くように奥をかきまぜ始める沖田の動きに、再び斎藤の背を粟立たすような迸りが甦った。 「あ・・あ、あ・・・っ」 身の奥の圧倒的な快感、 正直な己の体の反応に、斎藤は自分でいやになるほど逆らえず。 ここではだめだと、頭の片隅で叫ぶのに咽喉をすり抜けてゆくものは、 「おき・・っ、だめ、・・だっ・・、っ」 嬌声まじりの。なまぬるい、緩い抗いだけ。 奥底の、そんな斎藤の葛藤を見切った様子で、沖田が微笑う。 「・・・可愛いよ、斎藤」と。 「ば・・っ、か言うな・・ン・・っ」 あいもかわらず斎藤の羞恥を煽る言葉をわざと使う沖田は、 「事実だ、・・」 そうして斎藤の耳元に吹き込み、 背を反り返らせる斎藤の首元へと、唇を寄せる。 「斎藤・・」 己の首すじに沿って何度も口づける沖田の、己を呼ぶ愛でるような低い音色が、斎藤の神経を焦がした。 目眩がして。 羞恥と快楽の背反に、斎藤は甘い苦しさを圧し出すような、乱れた息を吐き。 喘いで顔をもたげる斎藤の、色を帯びてほんのりと紅色な首すじへと、そして更に沖田は痕がつくほどに吸い付いた。 「ッ・・!」 息を呑む斎藤を沖田はかまわず、 下から幾度も、突き上げる。 己の腕の中で、己の這わす舌にぞくぞくと背すじを震わせる斎藤の、その反らされた腰を捕らえたままに。 「ンン!ふ・・っん、あ、はっ・・」 零れてくる斎藤の堪えきれぬ嬌声が、 沖田の情欲を果てしなく甘く、誘う。 やもすると、もっていかれそうになる、と沖田は内心で苦笑しながら、 自然なそぶりを装い、両の腕をずらし始め、もはや逃げることを忘れている斎藤の腰から一瞬両手を離した。 そのままなめらかな肌を撫でて着物の下を移動し、斎藤の左右の太股を下から潜らせて掴み抱え。 ぐいと斎藤の股を大きく、広げ開けた。 「ん、やっ・・・」 驚いた斎藤が脚を閉じようと力を込め、 ・・・否、 それまでの快楽に痺れた神経では、込められるほどの力も出ずに、 沖田のなすがままに斎藤は。股を大きく開かされたまま、 下から尚も突き上げられ、揺さぶられ、 振動に、斎藤の裾が毀れるようにめくれて、斎藤の前が露わになれば、 斎藤は、込み上げる羞恥に誰から隠れるわけでもなく顔を背けて。 (本当に、可愛い) いっそ、この場に誰か居れば、それもまた一興・・ 沖田は斎藤を揺さぶりながら、うっとりとそんなことを想う。 「そろそろ土方さんが帰ってくる頃だな」 本当は夜まで土方は帰らないが、 己に力なく股を大きく広げさせられ揺さぶられる度に、前で張り詰めているものを無防備に露わに揺らしている斎藤の、その姿はあまりに淫美で。 羞恥心を煽るだけ煽ってさらに乱れ咲かせてやりたいと。 そんな、ささやかな嗜虐の想いにさえ、 「あの人もあれで、おまえのこんな姿は好きだろう」 ―――駆られる。 「なに言っ・・」 首をふり、未だ小さな抵抗を表した斎藤の、 汗でしっとりと濡れた艶やかな黒髪に沖田は口づけ、気づかれることなしに声無く微笑った。 よもや背後でそんな悪戯な哂いをしているとは思っていない斎藤は、土方がいつ帰ってくるかもしれぬと慌てている欠片の理性を抱えて、身を捩じらせ。 せめて前を隠そうと、斎藤が両手で着物の裾を引こうとするも、 沖田は後ろから、斎藤の両の手を一瞬早く掴み。 そのまま掴んだまま、 斎藤の太股まで二人の両手を持っていき沖田は、 斎藤の太腿の下から今度は斎藤の両手ごと、先程通りに、大きく斎藤の両脚を広げ抱えてしまった。 「おきた・・っ、放せ・・!」 もはや、手も脚も自由にならなくなった斎藤は、背を反らしたり身を捻ったりして最後の抵抗を試みるも、 そうする合間にも、沖田に身の中心を突き上げられて犯され続け、 震える悦楽に神経が緩み。 どうかすると力が抜けてしまうのを斎藤は堪え、 「はなし・・っ」 「放さない」 からかうように後ろで耳元へ囁く沖田から、せめて顔を背けてみせ。 むしろそれで露わになった白い首元へ、沖田のほうは顔を埋めると、 逆らった仕置だとばかりに。太股を掴む腕の片方を伸ばし、 「っあ・・っ」 指先で斎藤の両の玉を浚うと、玩んだ。 「やめ、」 やめろ、と最後まで言わせる前に沖田は、また腰を叩きつける。 「っう、ん・・!!」 ふるりと振動が、斎藤の露わな前を、揺らした。 その光景を愛でるような沖田の、 ”絶景” 笑みを含んだ耳元へ落とされる囁きに、さらに斎藤は追いやられるように首を振った、 その時だった。 「歳。帰ってるか?」 不意に、 閉められた障子の向こうで、近藤の声が起こった。 びくりと、斎藤は冷や水を浴びせられたように強張っていた。 「歳?」 だが斎藤が息を殺して障子の向こうを見やったのもつかのま、 沖田が咄嗟に後ろから、片手で斎藤の口を塞ぎ、 (・・っ) 塞ぐなり、 斎藤を荒々しく、揺さぶり。 「ぅ・・・ふッ!!」 (沖田、何を考えてる・・!) 「歳、いないのか?」 「・・ん、っ・・ふ・・」 突かれるたびに、 「歳?」 「っ・・う・・、っ、」 己の喉から漏れ出てしまう声が、 (おき・・た・・っ) 障子の向こうの近藤に届きはしないかと、 気が気でない斎藤をよそに。 「たまんない」 背後の沖田はこの状況を心底、愉しんでおり。 斎藤の口を塞いだまま、 「・・っ・・ふ、・・っん・・!!」 上下に斎藤を揺さぶり、 別の手で斎藤の太股から双玉から、その身の先の湿りまでを、くまなく指先で撫でまわしはじめ、 「ふっ・・んっ、ぅん・・・!!」 斎藤は、噴出すような悦感に、どうしようもなくきつく目を瞑り。 「ン・・う・・っ・・」 「歳?」 「っん・・、ぅ、・・んーっ・・」 「・・そんなに声を出すと聞こえる」 沖田がからかって斎藤の耳元に囁く。 (あ・・・あんたのせいだろ・・!) 沖田の広い手に口元を覆われたまま斎藤は、声にならぬ非難を返す、 つと小さな音を聞き取ったのか、 「・・歳?開けるぞ?」 近藤が、今にも障子に手をかける気配がした。 (・・・!!) 「あ、局長、」 三寸ばかり障子が開けられた時。 「副長なら未だ、お戻りではありません」 廊下の向こうで偶然通りかかったらしい島田の声が、近藤を呼び止めた。 「お。そうか」 口を塞がれ幾度も揺さぶられたまま斎藤は、揺れる視界の先、三寸ばかり開かれた障子が再び閉められるのを見つめた。 気が、おかしくなりそうだった。 斎藤の内はすでに、蕩けそうなほどに衝かれ掻きまわされており、揺れる無防備な斎藤の前は、触られぬ合間も幾筋もの雫を溢し。 (沖田・・、もう・・!) 解放してくれ、と。 涙目になって首を振り、切羽詰った抵抗を示した斎藤の。 その不意の動きは、 しかし期せずして、斎藤の口を覆っていた沖田の手を頬のほうへ僅かにずらした。 が、 そのまま斎藤の頬をすっぽり包んでしまった沖田の手は、好機とばかりに。 斎藤の顔を背後の自分のほうへと強引に向かせ。 向かせて、 斎藤の、しどけなく開いた喘ぐ唇を、深々と塞ぎ。 「・・っ・・、」 侵入してくる舌が、斎藤に息をつく間も与えず、呼吸を奪いとった。 (斎藤、・・) 沖田が、逃げまどう斎藤の舌を舌で無理矢理に絡めとれば。 きつく目を瞑り、苦しげに眉をよせ歪められる斎藤の白皙は、 声を深く奪われたまま喘いで。 背徳的なまでに、美しく。 沖田の手の内では、限界まで凌辱され雫を滴らせた斎藤の身が、痛ましく張りつめていた。 すぐ向こうの障子一枚隔てた廊下では、近藤と島田が何か立ち話をし始めている。 かまわずに。 「ん・・、ぅ、・・っ・・んー・ッ・・!」 もがいて逃れようとする斎藤の舌を捕え、 唇を塞いだまま沖田は幾度も、腰を打ちつけ、 「ん、ぅん、・・っ、ん、」 虐め、追いつめ、 解放を希求してやまない躰を弄びつづける。 「ん・・、・んー・ッ・・!」 もはや理性からではなく、本能のほうで己の限界を悟って、必死で抗ってくる斎藤に、 沖田は容赦なく突き挿れ、自らを斎藤の内へ溺れさせてゆく。 只、一瞬だけ沖田は水面上へと、 浮上し。唇を離した。 「・・果てたいか?斎藤」 その行いとは裏腹に慈しむように、問われた斎藤は。 沖田の、そんなあいかわらずのからかうような愛で方に、 薄れてゆく意識の内で、ややあって。耳元に低く囁かれたその言葉を呑みこみ。 首を縦に振ろうとして、 「ッんん・・!」 だが、僅かな返事を紡ぐやいなや、息つく間もなく再び舌を奪われ、 それは、斎藤の素直な応えへの、褒美のように。 内壁の、正確に把握されている一点を芯の粟立つほどに、擦られ。 「ふ、ん、っ・・んっ・・!」 廊下の向こうでは未だ、近藤と島田の話し声が響く。 もう。それさえも、斎藤の理性が捉えることのできる域を外れ始めていた。 「んーッ、ぅ、・・っ・・ふ、・・んー・ッ・・!」 (斎、藤) 捕えている斎藤の唇の、奥、咽喉で奏でられる艶やかな、また悲鳴にも似た嬌声は。もはや斎藤の唇を解放してしまえば叫びだしてしまうのではないかと思うほど乱れてゆく、 ・・・己も斎藤も、そろそろ限界か 思いながら。沖田は (いっそ叫んでもらおうか) 胸内にうっそり呟くと、斎藤の唇を解放するなり、 頬から離した片手で、次には斎藤の腰を、強く掴み。 もう片手は斎藤の前を握りこんだままで、 激しく斎藤を揺さ振って追い上げるに、 転じた。 「っ・・は・・っ、あ、あっああ・・ッ」 まもなく斎藤が身をなやましく捩らせ、 間一髪で障子の向こうの人影が話し終え去ってゆくのを遠目に、 「あぁ、あっ、・・おき、たっ・・おきた・・!!・・」 うわごとのごとく己の名を呼んでくる、その放たれた艶美な姿に、 沖田は最高の褒美のごとく、斎藤の菊内の急所を焦らすことなく擦り上げてやり、 「も、うっ、ん・・は、て・・っあ、っ・・あッ・・ああ・・!!!」 遂に、鋭い痙攣とともに斎藤が叫んで。沖田の手の内で白濁を零して、 刹那の痺れるように強烈な締め付けに、 「斎藤、・・ッ」 時同じくして沖田も斎藤の内へと吐き出した。 「・・・っ・・ふ・・」 斎藤が乱れた息で、沖田の胸前へと力なく寄りかかって、 紅潮した頬を沖田の肩にもたせかける。 深く揺れる息を吐き出してやわく開かれた唇。 納まらない苦しげな息に上下し、目をつむり切なそうに眉を寄せている、 そんな腕の中の斎藤を、沖田は込みあげる果てしない愛しさに深く抱き締めた。 結局なんだか沖田にいいように玩ばれた気がしてならない斎藤は (沖田に言わせると、刺激的な状況で気持ち良い思いをしたじゃないか、というところなのだが)、今度から下帯を隠すことにした。 それを沖田が面白がって捜し回っているのは言わずとしれたことで。 そして。 「・・・・俺の布団、なんか匂う・・!?」 押入れから布団を出して横になった土方が、その夜ひとり叫んだのも言うまでもない。・・・                    

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