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第2話
ガブリエル様の自室で二人きり、政治について勉強なさっている時に彼のしなやかな指先が私の手の甲に重なった。
「アラン…」
皺のないきめ細やかな肌が、熱と確かな意思を持って、私の手を撫でる。
私の炎がゆらりと揺れた。本当はその手を払いのけなければならないのに、あまりの心地よさに為されるがまま手は動けない。
「…まだ休憩には早いですよ?ガブリエル様」
辛うじて口先だけは冷静さを保った。
しかし、上っ面の仮面を彼は許さなかった。
「そうじゃない…アラン、お願いがあるんだ」
切羽詰まった甘い声音が私の耳を犯す。
そばかすも低い鼻も変わらない、少し器量の良くない、けれど愛らしい顔が、不安と期待に満ちた何とも言えない表情で私にすがる。
ぎゅっと手を強く握られた。
「…僕を、っ」
「ダメですよ、ガブリエル様」
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