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第14話

 その後、彼の体を綺麗にし、葬儀屋を呼んだ。 葬儀は滞りなく行われた。 私の心はどことなく欠けながらも、誰にも知られずに取っておいた彼の髪をロケットに入れて常に肌身離さず持つことで、私はどうにか生きていた。 そして、彼の『お願い』事である奥方とご子息を支えることに全人生を捧げることにした。  97歳になった時、私にもようやく旅立つ日が来た。 もっと早く旅立てると思っていたが、運命はやはり残酷で、私を長く苦しめることが好きらしい。そして、なんともおかしいもので、ガブリエル様と同じ病を私は患うこととなった。 旅立つ日までに、私は何度も意識を失った。 そして、現実なのか夢なのか分からない混濁した景色の中を、私は何度も行き来した。そうして、息を引き取る瞬間、私は声を聞いた。 『アラン』 とても優しく、甘く私の名前を呼ぶ声だ。 ぼやけた視界に目を凝らすと、私は天使を見た気がした。 それは、そばかすのある少し低めの鼻を持った器量のよくない顔のようにも見え、私の熱を唯一燃やす愛しい者によく似ていた。 La fin

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