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第13話
「…ッガブリエル、さま…っ…ガブリエルっっ」
ガブリエル様の体を抱きしめる。
「私の、っ…私だけのガブリエルっっ」
ぐったりとした体は、とても重い。
こんなにきつく、骨が折れてしまうのではないかと思うほどきつく抱きしめているのに、彼は何も言わない。
抱きしめてもくれない。
「愛しています…っ、愛してる…っガブリエル、貴方だけをっっ」
応えて欲しくて、私は嗚咽を漏らしながら、彼の名前を、そして、一度も彼に言えなかった言葉を伝える。
「…ガブリエル…私を愛してると言って…、私だけを…アランを愛してる、と…」
私は必死に彼に縋った。
返ってこないと分かっていながらも、今の私には激情のまま声を荒げる事以外、何も出来ない。
「お願いだ…っ、私の愛しい天使ガブリエル…っっ」
彼の瞼に私の涙が零れ落ち、まるで彼が泣いているように、私には見えた。
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