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prologue

「かなたん、おとうたん、いっちゃったね」 「あぁ、逝っちゃったな」 斎場の外のベンチに背中を預けて空を眺めていた陽太がポツリと零した。 その言い方がまるで謙也がちょこっとそこまで出かけたように言うので胸が詰まる。 「陽太、これから俺と一緒にいような」 泣き濡れた瞳で俺を見上げ、 「うん。ずっといっしょ?どこにもいかない?」 「あぁ、ずっと一緒だ」 陽太の頭を左手でポンポンと叩いた。 俺の指を握る白い小さな手。 秋の風が吹き抜けていく。 陽太、6才。 俺、26才。 五日前、抗争で死んだ兄貴の子供を引き取りました。 斎場の向こう、休耕田に植えられた秋桜が揺れていた。

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