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大切な 第16話

何かうるさく鳴り響いている。 ゆっくりと意識が戻り目の前に映る光景は自宅の玄関のドアだった。 そして、インターフォンが鳴り響いて僕は咄嗟に玄関の鍵を開けてドアを開いてしまった。 「おっ」 「あっ、すみません。ぶつかりませんでしたか?」 「大丈夫だ」 玄関の前に立っていたのはとっても僕と同じ人間なのかと思うくらいの綺麗な顔立ちをした男性だった。 白いTシャツの上に黒いシャツを羽織り下は黒のチノパンツでラフな格好なのに容姿からかモデルが目の前にいるように思える。 僕は瞬きや息をすることも忘れて男性に魅入っていた。 「あの、突然申し訳ないです。隣に引っ越して来ました。廣澤桃綺(ひろさわとうき)と申します。つまらないものですがこれから宜しくお願い致します」 「あっ、ご丁寧にありがとうございます」 包装された箱を僕は頭を下げて受け取ると何か胸が騒ついて小さな男の子の声が聞こえた気がした。 思い出して・・・。 周りをキョロキョロと見ても僕と廣瀬さんしか居ない。 ただの思い過ごしだ。 あんな夢を見たからきっと声が聞こえたように思えたんだ。 「大丈夫ですか?」 「あっ、はい。すみません」 心配そうな顔をして僕を見下ろす顔が凄く綺麗でどんな表情をしても廣瀬さんは綺麗なんだろうか?

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