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大切な 第15話
夢?
またあの男の子と犬。
でもいつもよりもハッキリとしているように感じるのは気のせいなのか?
僕は玄関にいたはずなのにどうしてこんな夢を見ているんだ。
モモだけ・・・愛している。
そして僕の気持ちとは関係なくこの男の子の気持ちがハッキリと伝わってくる。
本気で犬を愛してるんだ。
「僕はモモと添い遂げます。」
「総一郎さん。それは無理ですと前にもお話をしましたよ。」
「でもお母様。僕はモモが好きです。」
小さな子が言う事だから母親も本気にはしていないのだろう。
この男の子の純粋で真っ直ぐな気持ちが痛いほど伝わり僕までもモモを愛してしまいそうになる。
こんなに愛せるなんて僕には・・・。
奏悟をここまで愛していると言う自信が僕にはないよ。
人を好きだという感情にやっと気づいたんだから愛するとか本当に分からない。
けれどこの男の子の気持ちの中で僕に分かるのは切なくて苦しいといった感情でそれは奏悟を諦めようとしている気持ちに似ている。
そっか、母親に言われた事でこんなにも苦しい気持ちになっているんだ。
愛してはダメだと言われてこの男の子はそれでも犬を愛し続けた。
自分の気持ちに嘘はつかずにだけど周りには気付かれないように死ぬその瞬間で犬を愛していた。
僕にはそんな真似できない。
周りに言われたら諦めてしまうに違いない。
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