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大切な 第14話

「さあ、お別れだ。」 そう言われてもお別れなんて出来るわけないですよお父様。 ずっと僕と一緒に遊んだり寝たりしてたんだですよ。 「もう、モモは遠い所に行ったんだ。総一郎がいつまでも泣いてるとモモは幸せになれないよ。」 モモ・・・・。 僕が泣きやまないとモモは幸せになれないのですか? 床に敷かれた布の上に静かに横たわるモモをギュッと強く抱きしめた。 お別れですモモ。 「あっ、お父様少しだけ待って下さい。」 「どうしたのだね。」 「モモにもう泣かないと約束の印をしたいのです。」 「分かった。」 お父様は僕の頭を優しく撫でると柔らかな笑みを浮かべた。 僕はスクッと立ち上がり急いで下働きの菊に言って赤色の糸を貰うとまたモモの側へと戻った。 「モモ、この赤い糸に誓うよ。」 いつかまたモモに出逢えたら僕はどんな姿のモモでも見つけ出してまた一緒に居ようね。 誓う。 絶対約束だからね。 僕はモモの左前足首に赤い糸を結びつけ唇を当てた。 これが僕の誓いだよモモ。 ずっと愛しているのはモモだけだからね約束だからモモも僕だけを愛していてね。 少しのお別れです。

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