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大切な 第1話
君がこの世から去っても僕はきっと君を探し出すよ。
ずっと生まれてから君が僕の側にいた片時も離れないで僕を見守っていてくれた。
約束するよ生まれ変わったらずっと一緒に生きて行こうだから僕は悲しまない。
また出会えるように君の左前脚首には赤い糸を巻いておくよ。
そして僕がこの世から去る時には同じ様に左手首に赤い糸を巻くからね。
約束の印の赤い糸だ。
絶対にどんな姿の君でも僕は必ず見つけ出すからね。
「また会おうね。」
横たわる犬の側で僕は涙を拭い抱き締めて左前脚首に巻かれた赤い糸を握りながら願うんだ。
来世でまた会おうね。
約束の赤い糸が僕達を必ずまた巡り会わせてくれるはずだから安心してね。
横たわる犬がもう起き上がり僕にじゃれついて舐めまわしたりする事はない。
けれどその犬が返事をした様に思えた。
『また来世でな』
そう思うと涙が止まらなくて悲しくて泣いているのか返事をしてくれた事が嬉しくて泣いているのか分からない。
きっと赤い糸が巡り会わせてくれる。
「と、そこで目が覚めるわけだ。」
「はっ?なんだそれ大丈夫か?なんか小説とかの読みすぎじゃないか?」
「だから!小説は好きだがこの夢は小さい時から見るんだよ。」
「怒んなよ。それって前世の記憶とかだったりすると凄いと思うよ。」
本当に凄いと思ってるならニヤついた顔をしないと思うぜ親友。
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