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5日目・1
真っ暗だった。
何も見えない。
それは、目を布で覆い隠されていたからだ。
おそ松は目隠しをされ、両手はガムテープで縛られたまま部屋の中に転がされていた。
下半身には何も身につけてないのか、ひんやりとした空気が肌に触れている。
「おそ松」
遥か上の方から、いつもの男の声が聞こえた。
「痛いのと気持ちいいの、どっちがいい?」
不思議な質問だった。
選択肢を与えられているようで、結局、答えなど決まっている。
「……気、持ちいいの」
おそ松は、恐る恐る声のした方へ答えた。
男の真意が分からず、答えた言葉が正解なのか分からない。
闇の中で、男が動く気配がした。
強引に顎を掴まれる。
「っ!?」
男が何をするのか判断がつかず、少しのことにもおそ松は過剰に体を硬直させた。ククッと男の喉が可笑しそうに鳴った。
「んなビビんな。今日は気持ちいいことしかしねぇよ」
嘘はなさそうだが、含みのありそうな言葉に警戒心は解けない。
不意に、口を乱暴に開かれたかと思うと、少しかさついた柔らかな感触が唇に触れた。
「っ、んんんっ!?」
男の唇だった。
理解した瞬間、口移しで水が流れ込んでくる。思わず、ゴクリと喉を鳴らして飲み込むと、水以外の何か硬い物も一緒に胃の方へ流れ込んでいった。
「っは、何っ、飲ませたんだよ…っ」
唇が離れると慌てて吐き出そうとするものの既に体内に取り込まれ、取り出せない。
「だから、んなビビんなよ。ヒヒ、気持ちよくなりたいんだろう?」
楽しそうな男の声音に、どんな答えをしたところで、自分はもう何も選べないのだとおそ松は思った。
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