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翔×智+凛(その1)
「おーい、翔!この皿はここでいいのか?」
「しょう!れいぞうこいっぱいではいらないよぉー!!」
「あぁ、智、その皿はそこでいいよ。
凛、それテーブルに置いといてくれ。」
今日は、クリスマスイブ。
世間様と足並みを揃え、クリスチャンではないけれどイエスの誕生をお祝いをする。
そういえば、12月25日が正式な誕生日じゃないんだそうだ。
でも俺んちって確か仏教だし、初詣は神社に行くし、日本人って不思議な人種だと思いながらテキパキと作業を進め…。
腕によりをかけて作った品々がテーブルを占拠していく。
「さあ!食べるぞー!俺達はワインで、凛はジュースで。」
「「「カンパーイ!いっただきまーす!」」」
「…翔!美味いっ!!あぁ…やっぱりお前の作ったものは、美味い!サイコーっ!!」
「おいしーいっ!ほっぺたおちちゃう!」
これこれ。コイツらのこの笑顔。これを見るために作ったようなもんだ。
褒めちぎる二人をデレデレと見ていると、目の前に肉の刺さったフォークが差し出された。
智…?
目が潤んで頬がほんのり赤い。
え…グラス一杯でもう酔ってる?いや、準備を手伝いながら、何か飲んでたな…
「はい、あーん…」
うわっ!夢の『あーん』だっ!ヤバい!かなりヤバい!
戸惑いながらパクリと食いつくと、うれしそうにクスクス笑って俺を見つめている、その目が熱い。
「あー、ばかっぷる…」
ため息をついた凛に呆れられた。
「いいんだよぉ〜。俺達ラブラブだからぁ。」
智…その台詞はうれしいけど、飲み過ぎだろう…
「お前程々にしとけよ。」
「はぁーい!わっかりましたぁ!
翔!はいっ!『あーん』」
あぁ、酔ってるよぉ…。智、正気だけは保ってくれ…俺はイブの日に独り寝は嫌だからな。
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