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エピローグ 甘えたくなるのは君だから
結局2人揃って店に行くのは諦めたモノの、お互い別の日に1人で行っていつもの店員さんに対応してもらうことになった。事情を説明したときには一瞬驚いた顔をしていたけれど、すぐにいつもの穏やかな顔に戻って大丈夫ですよと請け負ってくれたのだ。
セミオーダータイプの指輪は素材とデザインを選んでからの作成になって、できあがるまでに1ヶ月ほどかかる。指輪がない間のことを不安がったオレに心底呆れたみたいな顔した司は、だけど仕方ないなと笑って次の日にいきなり1000円くらいのシンプルな指輪を買ってきて、オレの目の前でつけてくれた。
「はい、これでいい?」
「…………」
「いーの? 悪いの?」
「いい、です」
「ん」
よしよし、と満足そうな顔して笑う司が愛しくて仕方なくて、抱き締めて所構わずキスするしかなかった。困った顔したり呆れた顔したりするくせに、結局はオレが安心出来るように甘やかしてくれる司には、本当に敵わないと思う。
満足するまでキスして抱き心地を堪能していたら、腕の中に大人しく収まっていた司がそっと笑った。
「? 何?」
「んーん。なんかホント……颯真って想像以上に甘えんぼだなと思って」
「え? そう?」
「うん。いつもなんか、すっごい大人っていうか……なんか大人びた感じ? なんだけど、スイッチ入るとすんごい甘えんぼだよね」
「…………そう、かな……」
「うん」
「…………やだ?」
自覚は全くないけれど、もしも司が嫌がっているのなら改めないとと思いながら聞けば、んーん、と首を横に振った司が、照れ臭そうで幸せそうな顔して笑って。
「やじゃないから困ってんの」
その声は柔らかくて優しくて、愛おしさに満ちていた。
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