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第1話

この教室から見えるグランド。 窓を開ければ君を知ったあの頃とは違う冷たい風が頬に刺さる。 放課後いつもただひたすら走る君を見ていた。 そうこの教室のこの場所で。 蒸し暑い夏も、日暮れの早くなった秋も、刺すような冷たい日も。ただひたすらに君を見つめてきた。 君はキラキラと輝いて飛び散る汗も部員と笑い合う表情も全て僕を虜にした。 別にすごい選手だということもない。 弱小陸上部の部員の一人。目立つ理由でもなく至って普通を纏っている君に見蕩れていたのはきっと僕だけだろう。 モテる容姿も人を引き寄せる魅力があるわけでもない。 沢山の生徒に紛れてしまえば目を惹く要素なんてない君だけど。 僕には夏の太陽のようにキラキラと輝いて見えたんだ。

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