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第2話

廊下ですれ違う君。 友達には「こうた」と呼ばれていた。 「弓張 幸太」君の名前を知るまでに時間がかかった。 さり気なく名札を直視する。名札を見る前に君を見て蕩けてしまうのが悪い。 ふやけた顔で名札を見落として落ち込んで。 僕の両隣を歩くふわふわいい匂いのする彼女達よりよっぽど汗臭い匂いの君の方がいいなんてどうかしてる。 その匂いに赤面し、もっと嗅ぎたいなんて思う僕は変態なのかもしれない。 「風見君、帰りカラオケ行こ~」 腕に腕を絡ませるふわカワ女子達より臭い君がいいなんて。 「ん…今日はパスだな」 その言葉にえーー!!っと奇声を上げる。 僕がふんわり笑って見せれば彼女達はほんわり頬を染めた。 いつだってそう。僕に虜になっていく人達は本当の僕なんて見てなんかないんだ。

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