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第3話

ある日、君が廊下を全力で走っていくのと出くわし、出会い頭にぶつかりそうになった。 僕より少し背の低い君の肩を掴んでその身体を止めた。 「うわぁ、ごめん!!」 ハスキーな声で僕の腰を咄嗟に掴んだ。 「あっ!僕こそごめん!大丈夫?」 覗き込めば見上げる君と目が合う。キラキラと切れ長の綺麗な瞳に誘われてそのまま唇を奪いそうになった。 「風見ってイケメンだしイケボだよな」 訳の分からないことを口走りそっと手が離れていく。思わず抱きしめようと掴んだ肩に力を込めそうになった。 イケメンでもイケボでも君が振り向いてくれなくちゃ意味がないんだよ。 離しがたい手を離し、溜息を吐く。 「そんなのなんの意味もないから」 聞こえないように言ったつもりが、君は爽やかに笑ってポンと肩を叩いた。 「まあ、頑張れ」 残した言葉の意味を聞きなおそうとした時には颯爽と教室へと駆けて行った後だった。 ドンと壁にもたれ掛かり今度は大きく溜息を吐く。 頑張れって…頑張っていいのか? 君の為なら何だって頑張れる。たけど…頑張っちゃダメだろ…君の落とし方なんて分からないよ…

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