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第4話

身体の下で、無表情だった顔を真っ赤に染めて視線を逸らした恋人を、唖然とした顔で大平は見下ろした。 自分より少し大きな身体は僅かに震えを刻んでいる。 「ツルツルだろうがなんだろうが、ハヤテはハヤテだろ……変わらないし、抱けるに決まってんだろ」 言われた意味が分からないとばかりに、顔を寄せると表情を見られたくないとばかりに腕をあげて顔を隠す。 「そんなの、わかんねえだろ」 「……わかるって。俺はハヤテを好きなんだ」 「そんなの今だけだ。俺は信じない……ココから出たら、全部変わってしまうに決まってる」 決めつけて首を振り続ける巴弥天に、苛立ったように大平は腕を引きはがすようにぐいっと掴みあげる。 「ムカつく……。俺のキモチを勝手に決めるな」 晒された顔が涙に濡れていて、一瞬だけひるんだ表情を浮かべるが、軽く眉を寄せて怒りを表情に出す。 「信じない」 「信じるものは救われるっていうだろ」 「俺はキリスト教じゃない」 埒のあかないことを言い合いながら、大平は短く刈り上げた巴弥天の髪をそっと撫でる。 「俺を信じろよ。ハヤテ」 じっと見つめ返すと、うちしがれた表情で巴弥天は口を開いた。 「……最初から、俺は大平を好きだった。オマエが彼女と別れて落ち込んでたのを利用して、慰めるフリをして……誘った。こんないかつい男の癖に……オマエが欲しくて優しいフリしてただけだ」 噛み付くように告げられた言葉に、大平は驚きの表情を浮かべるが、ぐっと背中に腕を回して抱き寄せる。 「……嬉しい。ハヤテが優しいから、俺はずっと同情だけで、こんなことしてくれてたのかと思って絶望してたとこなんだけど……」 「俺は…………優しくなんか、ない」 頭を振る目の前の男を、ゆっくりと撫でながらしっかりとした身体をゆっくり辿る。 「好きだ……変わらず、ずっと好きでいるから。お願いだから、俺を信じて」

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