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起きてください
──彼は、よっぽど僕の声が好きらしい
授業中、今日も一つだけピクリとも動かない黒い頭を見つけ、声を掛ける
「起きてください」
のそりと動いた黒い頭、その持ち主は、僕が担任を受け持っているクラスの生徒であり、恋人の高城蒼士くんだ
恋人とはいえ、キスすらしたことは無いけれど
彼は静かに開いた目を細め、嬉しそうに微笑んだ
「昨日はあんまり寝れなくてさあ〜
今日も起こしてくれてありがとね」
そんなことを言っているが、他の先生に聞いたところ彼は僕の授業以外で居眠りはしないのだとか
僕の声を聞きたいがためにわざと寝て起こしてもらってるんだって自信満々に言い張った彼を思い出し、少し頬が緩む
先生として、居眠りを許容することは出来ないが、恋人にそう言ってもらえるのは少し嬉しかったりする
今、彼は高校3年生の夏休み直前だ
となると、彼にはこれから一大行事がある
受験、そして卒業だ
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